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しおりを挟む「お誕生日おめでとうー」
湧と海來君がふー!っと一生懸命息をふきかけてロウソクの火を消すと部屋が暗くなる。
2人は4歳になった。
湧は先になったが、2人とも1週間ちょっとの違いなので各家で個別にやるのとは別に2人一緒に祝うことにした。
切り分けられたケーキを美味しそうに頬張る湧と海來君を撮ろうとビデオをかまえた翼さんと潤也さん。
端のソファで無心でもぐもぐとケーキを頬張る来てくれた蓮君とその様子を幸せそうに見守る咲夜君。
「なーんか、皆自由だよね」
「だね。楽しそうで何よりだけど」
そんなみんなの姿を台所のカウンターに腰掛けて楓斗君と見守る。
「もう4歳か…早いね」
「それな。…あーんなにちっちゃくて泣いてばっかだったのに。今じゃ抱っこも一苦労」
「ほんとにね、重くなったよね」
色んな動きもできるようになったし、驚かされることばかりだ。
「あ、そうそう。…うちのマネがさ、海來と湧君、キッズモデルやってみない?って。…もし良かったらだけどさ」
「キッズモデルか…!いいね。…潤也さんとも相談してみるよ」
「うん!」
お互いの口をウェットティッシュで拭きあう湧と海來君。
可愛い…。親バカだとは思うが、天使みたいに2人は可愛い。
子供をモデルにしてお金を稼ごうとか話のネタにしようとか利用しようとかは一切ない。
ただ、自分にとって業界が身近だったりするからモデルもいいかもしれないなんて思ってしまう。
湧が幼稚園に行くようになって、仕事の幅も広がった。色んなところに出向いて仕事ができるようになったし、フリーランスの仕事も来る。
個人や、楓斗君とのブランドもいい感じだ。
雑誌に大きく取り上げてもらったりと調子がいい。慢心せずに落とさないよう頑張らなくては。
「んでんで?あの甥っ子カップルは??」
つんつん、と脇腹をつついてくる楓斗君。
「幸せそうでしょ?…すっごい純情だよ、あんなこともあったなぁって羨ましくなるくらい」
「ひぇ~、俺らにもそんな時期あったね」
もう自分達も10代の子たちに比べたら、もうフレッシュではない。
特に潤也さんはよく気にしている。
「あの…楓斗さん…ですよね…」
楽しく話していると、いつの間にやら蓮君が目の前に来ていた。
もじ、とした様子の彼が控えめに紙とペンを差し出してきた。
「…姉が…ファンで…俺も、…サイン、くれますか?」
「もっちろん。2つ書いとく?」
さすがファンサの鬼、楓斗君。
さらさらと手馴れたようにサインを2枚名前入りで書くと渡す際に「首輪、超似合ってるよ」と付け足すと嬉しそうに蓮君が笑う。
これは確か、2人で選んだ初めての首輪だ。
嬉しいだろうな、と再度咲夜君の元へ戻っていった蓮君の後ろ姿を見てそう思った。
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