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しおりを挟む「透、行けるか?」
「はーい」
最後に鏡で確認して玄関で待つ潤也さんの元に向かう。
今日は久しぶりのデート。
湧は幼稚園の遠足、咲夜君も友達と出かけて帰りは夕方になるらしい。
しかも楽しみなことに、行先は知らない。彼が用意してくれた所へ行くと聞いていたからワクワクしている。
予定は午後からだったので用意や家事にも余裕があって良かった。
「お待たせしました」
「いや。…本当にかわいいな、似合ってる」
ちゅ、と短いキスを交わして「では、 どうぞ」なんてエスコートするみたいに腕を差し出してきたので、ノリに乗って「ありがとうございます」と澄まして腕を絡めて車に乗り込む。
後部座席のチャイルドシートが空なのは少し新鮮というか、違和感だ。
楽しんでいるかな、と運転する彼と話しながら外の景色でどこへ行くのか予想する。
しばらく車を進めていくと街に入る。賑やかな本通りだ。
そうしてやってきたのはホテル。
建物の外装からキラキラしていて、会社の式典やパーティーで来るような所だ。
正面入口の前に車を付けるとホテルマンが出迎えてくれる。
「御予約の三ツ橋様ですね。ようこそいらっしゃいませ、ご案内致します」
上着を預かってもらい、ホテルマンの後ろを彼と手を繋いで歩く。
ホテルで何をするのだろう。
エレベーターを上がり、中庭へ案内される。
「綺麗…!」
辺りには花が咲き誇っていて、とても街の中のホテルとは思えないくらいだ。
「透、どうぞ」
「ありがとうございます…!」
中央の小さなテーブルセット。
潤也さんに椅子を引いてもらって着席するとホテルマンの人がティースタンドや紅茶の用意をワゴンに乗せてやってくる。
「アフタヌーンティーですか?!」
「あぁ、前に行きたいと言っていただろう?…気に入ったか?」
「嬉しいです。ありがとうございます…!」
覚えていてくれたんだ、とかっこよくありながらも、少し照れている彼にときめいてしまう。
結婚して約4年になるだろうか。交際はしていないから実質、出会っても4年になる。
未だにときめいてしまうし、彼がとても魅力的で、年々その魅力は増しているような気がする。
彼は歳を気にしているようだけれど、深みのある潤也さんも素敵だと思うし、髭を生やした彼も見てみたい、なんて思う。
スーツに髭、少し小じわのある潤也さん…。
完全にイケおじというものでは無いか…!
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