こっち見てよ旦那様

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「咲夜、布団、これ使え」

「ありがとう、おじさん」

甥っ子(正しく言うと甥じゃないが)である咲夜は今日は泊まっていくらしい。
ほとんど荷物もこっちで夜も遅いとなれば妥当だろう。

シーツと布団を客間から運んできてやり、敷くのを手伝ってやる。
お互い一人っ子だからか、親戚の仲が良かったからか、かなり年が離れていても昨夜とは仲が良い。

湧も咲夜を気に入ったらしい。「さく!」と一丁前に叫んでいた。
透は湧とお風呂らしい、俺も入りたかったが3人は流石に狭い。

「おじさん」

「なんだ?」

「俺がいても気にしなくていいから」

「どういうことだ?」

「透さんと、仲良くしてていいから。俺が湧君のこと見とくし」

真面目な顔で何を言うかと思えば、思わず噴き出してしまう。

「っ、いや…助かるが…お前は自分のやりたいこととやるべき事をしろ。気を使わなくていいから」

ぽん、と肩を叩いてやって「でもまあ、たまに湧のことお願いするかもな」と付け足す。

湧が幼稚園に入って仕事に没頭できるようになった透は楽しそうだ。
彼が嬉しいなら自分も嬉しいが、やはり透と触れ合う時間も欲しいというのが本音だ。
とは言っても、社長になってから仕事は増えるばかりでそうも上手くいかない。

 






「寝ましたか?」

湧を寝かしつけ、寝室に戻るとベットでストレッチをする透が待っていた。最近肩こりがあるらしい。

「マッサージしてやろうか」

ベットに上がり、ふざけ気味で手をわきわきさせてみると透が笑ってくれる。

「ちゃんと、マッサージでお願いしますよ」

「…バレたか」

うつ伏せになる透に跨り、肩周りと背中をゆっくり揉みほぐしてやる。

「っ、気持ちぃです…」

あ"~、と気持ちよさそうな透。
…気持ち良いのは結構なのだがなかなか…別のことを想像してしまう。

「…潤也さんが僕の上に乗ってるなんて…不思議な気分です」

「そうか?」

「はい。…いつもは僕が…なんでもないです」

…?

いつもは透が乗ってる…。確かに。
確かに乗ってる…

枕に顔を埋めた透だが、彼なりの失言に耳が真っ赤だ。
可愛らしくてついいじめたくなる。

「そうだな。…たしかにお前が上に乗ってるな」

ついつい彼の尻へと手を伸ばして控えめに揉んでみる。…柔らかい。
何故こうも柔らかくてすべすべで…とつい考え込みながら触っていると透に手をはたかれてしまう。

「ちょっと、マッサージって言ったじゃないですか」

ムッとしてる透。恥ずかしいのか少し顔が赤い。

「尻のマッサージだ」

なんてドヤ顔で言った日には「禁止です!」とそうそうに寝かしつけられてしまった。
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