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しおりを挟む咲夜君の部屋の前を通ると、楽しそうな話し声と物音が聞こえる。
潤也さんが湧を連れ出してくれているおかげで仕事が捗った。
そろそろ昼食の用意をしようとこうして下に降りてきたわけだ。
食べ盛りの高校生だもんなぁ、と冷蔵庫の中を漁った結果、かぼちゃのキーマカレーに決めた。
2人ともアレルギーや好き嫌いは特にないと言っていたので多分大丈夫だろう。
作り置きしていたポテトサラダとレタスのサラダがあればおなかいっぱいにはなるだろう。
それにしても友達の蓮君はオメガなのだろうか。
オメガは数が少ないし、違ってもおかしくは無いが…なんというか、勘でもしかしたらオメガじゃないのかと思ってしまう。
今の抑制剤は優秀で、きちんと自分に合わせて処方してもらえれば発情期でも学校や仕事に行けるほどにもなれる。
もちろん、人によって発情期の重さが違うからなんとも言えないが…3日か2日の休みで済む事もあるそうだ。
首輪を、していないのは分からない。
何かがあった時に首輪はあった方がいい。一度使いのブラウザってしまえば解消は難しい。
かと言って、全員がつけているという言う訳でもない。
…そんなことはどうでもいい。
咲夜君に仲の良い子がいるのはいい事だ。
おじさんが余計なお世話か、なんて笑いながら料理する手を再開させた。
「口に合うといいんだけど…」
「いえ、すごく美味しい…です」
蓮君が思った以上に気に入ってくれたらしい。美味しそうに食べてくれるとこちらも作りがいがあった。
2人とも流石は現役男子高校生、山盛りのカレーをペロリとたいらげる。
見ていて気持ちがいい。
デザートにアイスやらなんやらを出したくなるが、それはおやつにまわそう。
「蓮、ついてる」
「…え…どこ?」
「ここ、いやそうじゃなくて…ほら、とるから」
蓮君の口元に着いたご飯粒を指で取って食べたのを見てしまった。
よくよく考えてみれば確かに距離も近い。
そして極めつけの蓮君に対する咲夜君の眼差し。
…え!もしかして、もしかして、、
なんて心の中ではしゃいでしまった。
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