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しおりを挟む「おはようございます」
目が覚めると上裸体にショールを羽織った彼が窓辺で紅茶を飲んでいた。
…眩しい…天使か?いや、聖母か…
心做しか体が疲労感に包まれている。
そうか、透の発情期の中間地点。つまりはピークの3日間、丸ごとやりっぱなしというわけだ。
保育園に預けてそのまま湧を両親の元へ預けたので今日の昼頃迎えに行くことになっている。
それにしても、ピークとはいえ彼が薬を飲んで理性が少なからずある中、俺は完璧にフェロモンにあてられて発情していた。
いつもと立場が逆転したせいか、いろいろと透に攻められた。
悪くなかった。
だが目の前で実質自慰を見られるのは少し、いやかなり恥ずかしかった。
「体、大丈夫ですか?…沢山わがまま言って無理させてしまったので」
紅茶いれますね、とティーポットから紅茶を用意する彼の姿はある意味「スパダリ」と言うものだろうか。
けれどまだ上裸体である彼の姿は可愛らしく、美しい。
「…シャワー浴びて…動けそうなら一緒に迎えいくか?」
「はい。…もう薬を飲めば何ら変わりなく過ごせますので」
元気です、と笑う彼につられて笑い、紅茶を啜る。
湧は元気にしているだろうか。
仕方ないとはいえ、預けっぱなしも心が痛むが両親の情事をうっかり目にするなんていうより余程いいだろう。
美味しいご飯と優しい祖父母、湧にメロメロな使用人達に可愛がられているはずだ。
もうすぐ俺の社長就任式があるが、問題はその後のパーティーだ。
そう大したものでは無い、も言いたいが流石に社長の就任式で大きな取引先も来るというのだから粗末にするのも良くない。
同時に、透と湧も出席ということになっている。
まだ湧も幼いし俺の個人的な都合で出席は避けたかったが、少しの間でも出席せざるを得ない。
ヒート休暇の最終日、透の体調が良ければ3人で入用なものを揃えようと言うことになっている。
服といえば、この3日間で透にコスチュームを着てもらった。
…写真撮っておけば良かった。
「透」
「どうしました?」
「…その…衣装をな、また着て欲しくて」
「湧のお迎えかありますし、時間が」
「違うぞ、今からする…という訳ではなくて、お前の写真が欲しくて…」
そういうことですか、と照れくさそうに笑った彼が少し考える素振りを見せる。
やたら俺が写真を撮るので以前よりも写真については寛大なっているような気がする。
いい傾向だ思う。
「いいですけど…今洗っちゃってて…ベチャベチャだったので」
「そ、そうか」
確かに着ながらの時もあったし、脱いでも近くに放っていたのでベチャベチャになるのも無理は無い。
なぜだか少し恥ずかしかった。
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