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しおりを挟む「透、大丈夫か?」
「大丈夫です。…そろそろ薬切れるので飲みます」
「水持ってくる」
3日ほど経ち、発情期が始まった。
まだ始まったばかりで楽な方だし、薬も効いてはいるので動ける。
…が、熱っぽくてただしんどく、お腹の奥がムズムズするようなあの感覚だけが微妙にある。
潤也さんが廣瀬さんと入れ替えで休暇を取ったので、湧の世話は安心できるのだが少し過保護すぎるような。
慣れなくてくすぐったいが、甘やかされていると感じるとなかなか嬉しい。
最近潤也さんと話していたのは湧の保育園のこと。
また自分の仕事が忙しくなったりすると不定期に託児所へ…となってしまう。
とは言ってもまだ2歳にもなっていないし、たくさん一緒にいたい。
楓斗君は海來君を今月から保育園に通わせている。
仕事が早く終わったり、1日一緒にいられる日は休んだり、融通の聞くところを見つけたらしい。
なかなか悩ましい。
「透、飲めるか?」
部屋のノックと共に彼が水とプリンを持ってきてくれる。
悪阻の時に食べていた豆乳プリンではないか、きっと覚えていてくれたのだろう。
「ありがとうございます。…湧はどうしてますか?」
「今は子供部屋で昼寝してる。…起きたら公園にでも行ってくるよ」
薬を飲み込むまでじっと彼がこちらを見てくる。
「…やっぱり匂いますか?」
「そうだな。…理性を失う、と言うほど強くは無いがとても良い香りだ。心地がいい、お前の香りだ」
またそんなことを恥ずかしげもなく、なんてプリンを頂きながら1口彼に差し出してみると素直に彼が口を開ける。
…可愛い。
「美味いなこれ」
「美味しいですよね」
もう一口食べたいのだろうか、じっとプリンを見てソワソワしている。
「これで最後ですか?」
「いや、まだあるが…持ってこようか?」
「いえ。潤也さんが食べたそうだったので」
「それはそうだが…お前に買ってきたやつだから…」
いじらしい…。
うちの旦那様、やっぱり可愛い…!
座っている彼を抱き寄せて頭を撫でる。
いつも以上に愛しさが爆発しているような気がするがいいだろう。
「それなら一緒に食べませんか?…はい、お口開けてください」
あーん、とふざけて言ってみると少し恥じらいつつも潤也さんが口を開ける。
…可愛い。潤也さんが年下みたいだ。
口を開けて待っている彼に思わず見とれているとん?と潤也さんが不思議そうにこちらを見てきた。
「…くれないのか?」
「つい可愛いくて…どうぞ」
子供見たい。
やっぱり好きだなぁ、と1口口に入れてあげると美味しそうに口を食む。
「そういえばこの前の荷物と、もうひとつ荷物が届いてた。取ってくるか?」
「自分で行けますよ?」
「いいんだ。こういう時くらい俺が甘やかしたい」
今度は撫でられる側になってしまった。
潤也さんがかっこいい人に戻っている。
「これじゃ介護ですね」
「俺は満更でもないが…」
まったく、と笑いながら最後の1口を彼の口へおしこんだ。
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