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おしどり夫婦の廣瀬さん
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しおりを挟む「透さん、楓斗と海來がお世話になりました、失礼します」
「いえいえ。また来てね」
遊び疲れて眠ってしまった海來を翼に抱っこしてもらって透と潤也さんに見送られる。
急な会議で翼と潤也さんが遅くなるとの事だったので2人で出前を頼んで、お風呂まで入れさせてもらった。
もちろん着替えは持っていなかったので透と湧君のを借りた。親子揃ってここまでお世話になってしまうなんて有難い。
「ほんとにありがとう。今度は俺の家にも来てよ、お礼するからさ」
「僕も楽しかったからいいよー、持ちつ持たれつだからね。…ほら、これ忘れないで」
一緒に作った作り置きのおかずやパンの入った保冷バッグを受け取り車に乗り込み、最後まで手を振ってくれる透夫婦に手を振り返す。
「楽しかった?体調大丈夫?」
「うん。透と一緒にいたから気も抜けたし、薬も効いてるから大丈夫」
「そうか、良かった。…まだ帰ってからキスしてない」
「運転中だろ?、ちゃんと前見て」
何を言い出すかと思ったら、と言いつつも信号で止まった時に頬にキスしてやった。
「口に…」と振り向いた翼だったが、さすがに隣に止まっている車からも見えるし恥ずかしい。
「湧君と海來さ、一緒の遊びはしないのに絶対近くにはいるんだよ。どっかしら触れ合ってたり、直径1mくらいにはいるんだよ」
「そんなこともあるのか。…もう少し大きくなったら一緒に遊び始めるかもだな」
バックミラー越しにすやすや眠る海來を見て優しげに目を細める彼に少しときめく。
翼のこの顔は好きだ。
「幼なじみって感じだもんなー」
「そうだな。…俺も楓斗と幼なじみだったら良かったな」
「なんで?」
また変なことを言い出す。
「そしたら楓斗の小さい頃からその成長まで全部近くで見られるだろ?」
「そんなのいつでもアルバム見せるって」
「身近で、生身で見たいんだよ」
「なんか変態っぽいよ」
海來を起こさないように小声で笑い合いながら車に揺れる。
なんだか少し眠い。薬の作用か、疲れが溜まっていたのか車の揺れが心地よい。
「寝てていいよ」と翼に言われた時にはもう瞼は落ちていて、再度目が覚めたのはベットの上だった。
…暑苦しいと思ったら、翼が上から抱きしめてホールドされていたようだ。
ごろりと彼を転がして、勝手に腕枕の姿勢にするとそのまま腕に包まれて寝た。
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