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おしどり夫婦の廣瀬さん
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しおりを挟む「楓斗君、こっちこっち」
「透、わざわざごめん。ありがとうなー」
「いいよいいよ。海來君、こんにちは」
打ち合わせを終えてビルを出るとタクシーと共に透が待っていた。
湧君と一緒に迎えに来てくれたらしい。
「体大丈夫?持つよ?」
「透超イケメンじゃん、どしたの」
「いつもお世話になってるからお返しかな」
「楓斗君にイケメンって言われたらもうお墨付きだね」と笑いながら荷物をタクシーに乗せてくれる透に感謝しつつ2人で透宅へ向かう。
「お昼作ってあるから、ちょっと待っててね。…海來君も食べてくれるといいな」
「まじー、ありがとう。海來好き嫌い少ないから多分大丈夫だよ、なー?」
リビングの子供用のスペースで湧君と遊ぶ海來に呼びかけるとおままごとの包丁を見せに来てくれた。
おお、危ない。
「用意する間子供たちお願いできる?」
「任せといてー。…にしても、一緒に遊ばないくせしてくっついてるよなぁ」
海來と湧君は一緒に仲良く、は遊ばない。同じ遊びをすることも無いし、個々でやりたいことをやっている。年齢的にも妥当だと思うが、体はピッタリくっついてたり、すぐ近くで背中合わせだったりしている。
可愛いが、偶然なのだろうか。
幼なじみが恋に落ちるとか!?、少女漫画みたい。
出かける前に飲んだ薬で体のしんどさは抜けたし、食欲もある。
むしろお腹すいた。
「おまたせ、出来たよ」
用意されていたのはホットドッグのランチプレート。子供たちには野菜のポタージュとお子様ランチ。
「すげー!、インスタあげていい?メンションしとく!」
透に許可をもらい、インスタにあげる。透のアカウントをメンションしたら完成だ。
職業柄、こういうのをあげないといけないしこうして思い出を取っておけるのは嬉しい。
「ほら、チビちゃんたちおいで」
ご飯だよ、と2人に声をかけると遊びを中断してわらわら寄ってきた。お腹が空いていたらしい。
食べ盛りだもんなぁ、なんて。
2人で談笑しながら楽しくランチをして、その後は打ち合わせをしたり、庭で子供たちと遊びながら過ごした。
「もうちょっと子供たちが大きくなったらBBQとかしたいなって潤也さんと話してたんだ」
「いいね、庭広いといろいろ使えて楽しいよな」
うちはマンションで庭がないからな、と思いながら木で囲われた広い庭を見て少し思い出し笑いを。
確か潤也さんがこうして外から見えない家を買ったのって、透を独り占めしたくてたまらなかったからだっけ。
それを翼から聞いた時にすごいな、とも思いつつその執念に笑ってしまった。
翼から聞いていた透達の新婚状態はなかなかにすれ違っていたから、今はこうして幸せそうで何よりだ。
「まーま!」
「ままぁ!」
日陰の椅子に透と座っていると子供達が駆け寄ってくる。
「どうしたの?」
「 あい!」
2人で何か企んでいたのか、はたまた偶然かどうやらちぎって来たらしい花を笑顔で差し出してくれた。
「透ごめん、はなちぎっちやったみたいで…」
「いいよいいよ、可愛いもん。…2人ともありがとう」
「海來も、ありがとうな~」
湧君を抱きしめる透を見て自分も海來を抱き上げる。本当に重たくなった…。
いつか抱っこできないくらい大きくなったら…ちょっと寂しい。
「…俺腕の筋トレとかしようかな」
そう透に呟いた楽しい日だった。
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