85 / 219
おしどり夫婦の廣瀬さん
2
しおりを挟む「行くぞー!」
少し歩いたところにある大きめの公園で、翼と海來が滑り台を滑っている。
お高いスーツのジャケットとネクタイも取り払って海來を膝に乗せて大の大人が声を上げて滑り台。
その様子を少し離れた木陰で写真に収めながら微笑ましく見守る。
こんなどこにでも居そうなお父さんが今年中に三ツ橋グループの社長付きの秘書になるなんて誰も分からないだろう。
いや、どこにでもいそうではないか。
オメガも希少だが、アルファもそこら辺にポンポンいる訳では無い。
そして顔立ちもそうだ。
以前、俺の誕生日に好きな服を着てもらって撮影をしたのだがとても楽しかった。
透といつか潤也さんと翼を並べて撮りたいなんて言いながら写真集もどきを遊びで作った。
その写真集は海來が大きくなったら見せてあげよう。
「まま!かくえぅぼ!」
ぼんやりしていると海來が駆け寄ってきて裾を引く。
「かくれんぼするの?、よぉしやろっか!」
「楓斗もやるのか。じゃあ俺が探すから海來と隠れててね」
「おっけー。海來、いこっか」
海來を連れて隠れ場所に選んだのは遊具の筒の中。
小さな遊具だし、長身な翼はなかなか入り込めないだろう。
「海來、しーだよ」
「しー?」
「パパに見つからないようにね」
海來を膝に抱えてギュッと抱きしめる。
子供体温温かい。カイロとかそういうのとは別の温かさも匂いも大好きだ。
「海來~、楓斗~どこだー」
どうやら筒の下辺りにいるらしい。
「ぱぱ!!ちた!」
「海來、しー」
一生懸命下にいる、と教えてくれる表情がほくほくしていて愛しい、可愛いが…見つかっちゃう。
「どこかな~」
筒の入口付近に翼の足が見える。
絶対あいつわかってる!!
あいつのニマニマした顔が目に浮かぶ。
楽しそうに、今にも飛び跳ね出しそうな海來をそっと離すと案の定入り口に走っていってしまった。
「ぱぱちた!!」
「え?…あ、見つかっちゃったなー。海來の勝ちだ!」
まさかの。
「まさかの展開だな」
「そうだね。海來には勝てないよ」
手を差し出してくれた彼の手を取り筒から抜け出して滑り台へ走っていった海來を慌てて追う。
「滑るよー」
「よし、来い!」
「突撃ー!!」
海來を抱いて滑り、下で待っていた翼の腕に二人で飛び込む。
動物園だって水族館だって、なんでもいい。みんなでいれたらどこだって楽しいんだよな、と2人を抱きしめた
6
お気に入りに追加
1,508
あなたにおすすめの小説
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜
・不定期
変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話
ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。
βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。
そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。
イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。
3部構成のうち、1部まで公開予定です。
イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。
最新はTwitterに掲載しています。
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる