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第2章 20
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しおりを挟む「お邪魔しまーす」
「失礼します」
「いらっしゃい、どうぞ」
朝7時半。
楓斗夫妻と海來くんが尋ねてくる。
今日は旦那2人の出勤日なので、楓斗君と2人で1日家にいようということになった。
せっかくなので朝ごはんも一緒に食べるべく来てもらったのだ。
「海來見てるよ」
「ん、じゃよろしく」
海來くんの荷物を置いた翼さんが楓斗君の腕から海來くんを受け取る。
「手伝うー」
「ありがと、じゃあこれ焼いててくれる?」
「任せろ!」
予め作っておいたフレンチトーストを焼いてもらいながらベーコンエッグを人数分作っていく。
「ほら、苦戦してる」
「ほんとだ」
キッチンから見える旦那2人が懸命に子供達をあやしているのを見て2人で笑う。
「やっぱ2日間でも1人はキツかったな…世の中のお母さんホントすごい」
「ほんとにな。…2人が育休取れてよかった」
そんなことを話しながら、子供達が泣き止んだ時には朝食は完成し、4人で食卓を囲む。
いつもより賑やかな食事はとても楽しかった。
潤也さんと翼さんを送り出し、子供達にミルクをあげてやっと片付けを始める。
「俺の出が悪いのか海來の飲みっぷりが良すぎるのか足りないんだよね…粉に頼りっぱなし」
「それもいいんじゃないかな、僕もたまに使うよ。…湧、1回の量少ないから回数多くてちょっと疲れる」
「あー、やっぱり疲れるよね。…子供達寝たら仕事する?」
「そうだね」
海來くんと湧を並べると、やはり海來くんの方が大きい。
湧も湧で元気に育ってくれているからなんの問題もないのだが、大きいと抱っこも大変だろう。
でも2人ともぷくぷくしていて可愛い。
「…寝てる時はほんとに天使だよなぁ」
「ほんと…これみたら疲れ飛ぶ。…けどまた戻ってくるよね」
2人の様子を見つつ隣で資料を見返しながらブランドの話を進める。
ユニセックスを中心にして、様子を見て増やしていこうと思う。
「黒を基調にするならかんな感じ…シンプルだけど地味すぎないようにしてみた。…で、色味が多いのはこっちかな」
入院中に楓斗君からの提案や自分自身の考えを描いたアイデアやスケッチは山ほどある。
そこからまた手直しをして業者さんに相談する。
ここで使わなければ今やっているブランドの商品として出してみよう。
自分のブランド、とはいっても作ってみたいものをジャンル問わず出しているのでビジネスよりも趣味に近い。
それでも趣味が仕事になるのはいい事だ。
「あ~!やっぱラーメンって美味しい!」
「なかなか食べれ無かったもんね」
昼ごはんは楽をしようとインスタントラーメン。
久しぶりに食べる熱々のラーメンはとても美味しくて箸がよく進む。
「透は潤也さんと夜する?」
「え、えっと…しないかな。湧が起きたら困るし、なんか最近そういう欲が無くなったっていうか」
「わかる!子供産んで暫くは発情も来ないっていうし、欲もなくなるのかもね。子育てに専念しろーて」
「楓斗君は?」
「俺も全く。…まあ俺らは無いけど翼とか潤也さんはどうなんだろう」
「多分あるよね」
食事中なのになんて話を、と思うも別にいやらしい意味でもないから構わないだろう。
「悩ましいなぁ」
2人でうーんと悩んでいるもそんなことはお構い無しに湧は泣き始め、海來くんももらい泣きで家の中は泣きの大合唱が響いた。
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