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おしどり夫婦の廣瀬さん
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しおりを挟む「痛い…」
無事に手術を終え、その後の痛みに耐える楓斗の腰を温め擦る。
痛み止めが効くまで時間がかかるらしい。意地でも上司である潤也さんには立ち会ってもらわず、1人で待合にいた。
まだかまだかと経つ時間はとても長くて、1時間を超えてやっとのことで対面できた我が子を見た時はなんとも言えない感情で胸がいっぱいだった。
「マッサージしてみるか?」
「うん…」
今までにあまり無いほど彼が弱っている。
お腹を切って縫い合わせたばかり、更にはそのお腹が元に戻ろうとしているなんて痛いに決まっている。
自分は子供を見て可愛い、と思うだけだが彼はその後の痛みとも戦わなくては行けない。
せめて自分にできることをしようと自然に調べたり、お医者さんに聞いたマッサージをする。
横向きで抱き枕を抱え、顔を埋める彼の様子を見ながら「大丈夫?」と声をかける。
「…ちょっと楽」
しばらく続けていると薬も効いてきて眠ってしまったらしい。
腰にあてがった湯たんぽを替えてカーテンを閉める。一応、こういった看病の先輩である潤也さんに聞いてみるとゼリー類を持っていくといいと言われた。
楓斗も好き嫌いは多いし、頑張ってくれたので可能な限り好きなものを食べさせてやりたい。
後で看護師さんに食べれるものを聞こうかと疲れた顔で眠る彼の頭を撫でて話しかける。
「お疲れ様。…後で会いに行こう」
海來は成長が早かったのか、お腹の中で早く大きくなった為予定より早く取り上げた。
自分では比べる基準が分からないので大きいのかは分からなかったが楓斗と海來が無事ならいい。
潤也さんがこれから育休を取るとして、自分が取れる時間はいつだろう。
さすがに2人とも不在なのはキツい。
在宅にするのもいいが…どうするべきか。
「潤也さん、育休はいつ頃から取られすか」
「そうだな…透が退院する日から取ろうと思ったが」
運転しながら頭の中のスケジュールを思い出す。
楓斗が退院するのはその約1週間後…調整は恐らく出来ると思う。
「お前も育休は取るだろう。…ただ俺は一応立場的にも休みっぱなしは良くない。透にも相談はしたが、基本在宅勤務で週に1日か半日会社に出ようかと思ってる」
「なるほど…」
それなら確かに回せそうだ。
ならそれまでに在宅勤務では処理できない分の仕事をまとめて…彼の在宅勤務が始まったら後の1週間で自分の分と調整。
これならいけるか。
「翼…楓斗さんも大変だろうから、休みたかったら休め。…俺だって一応副社長だ」
「ありがとうございます。…けどその前に自分の書類は自分で片付けてください」
ま、さすがは俺が認めた上司だ。
楓斗も透さんとお互いの旦那が居ない時は一緒にいて協力しようと話していたしそれほど心配も要らないかもしれない。
腕時計をちらりと見て会社へと車を進めた。
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