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しおりを挟むついに明日は手術の日。
午前は残りの検査をして、午後は明日に備えてゆっくりしていた。
楓斗君とお義母さんがお見舞いに来てくれた。楓斗もお腹が大きくなっていて「次は俺だなー」なんて笑っていた。
夜には彼も来てくれるはずで、明日は1日休みを取ってくれると言っていた。
手術中は会えないが手術が終われば直ぐに会える。
少し怖いがそう思うと安心だ。
静かで退屈なのも今日で終わり、明日からはゆうのお世話や自分の体調で手一杯になっているだろう。
「ゆうも温かいところでずっと寝てられるのも今日までだよ」
外に出たら眩しいわお腹はすくわで大変になるよ、なんて話しかけながら笑う。
「透、遅くなってごめん…」
彼が来たのは面会時間ギリギリ。きっと仕事が長引いたのだろう。
「今日は少ししかいられないけど…明日明後日は1日居られるからな」
「嬉しいです。…そう思ったら少し怖くなくなります」
頭を撫でられて少しだけキスをするともっとしたくなってしまう。歯止めが効かなくなってしまうので一旦止めると彼が病人服に気がつく。
「胸のとこ…」
「あぁ、パットが入ったんです。胸が膨らんで擦れて痛かったので」
胸部分のパットに気がついたらしい。
女性までとはいかないが多少の膨らみはある。ジンジンして痛かったりするのでこうしているのだ。
本当に自分の胸から母乳が出るなんて未だ信じ難い。あんなに絶壁だったのに。
人の体というのは凄い。
「明日は何時からだ?」
「一応午前にもう一度検査と準備をして午後には始まると思います。」
「じゃあそれくらいに行こう」
「あまり無理しないでください。…眠たそうですよ」
「大丈夫だ、お前の顔みたら安心した。…じゃあそろそろ帰る。また明日な」
エレベーターまで見送り、談話室で飲み物を買う。
明日に向けて食事はより一層ストイックというか、病院食らしいものになっていた。
味気なくはあったが栄養はとてもありそうだった。
このお腹とも今日で最後、とにかく無事に生まれますようにとお腹を撫でた。
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