44 / 219
15
.
しおりを挟む「今日お義母さんが来てくれましたよ」
「そうか。…何かようだったのか?」
「いえ、お祝いを頂きました」
潤也さんにお義母さんから頂いたカタログを渡す。
「この中で欲しいものを買ってくれると言ってくれて…有難く頂こうかと」
お義母さんから渡されたのは高級ベビー用品のカタログだ。自分達がもう用意しているものと被るといけないから好きなものを選べとの事だった。
とても気を使ってくれていて何から何まで優しい人だ。
「そうだな…これなんか良さそうだな」
彼が指さしたのは電動のゆりかご。
高さも調節出来て、手動にも切り替えられる。確かに手が離せない時はこれが役立つかもしれない。
…だがお値段がなかなかに可愛くない。
「いいですね…でもちょっと高価だから心配です」
「大丈夫だ。それに、俺が元々買おうと思っていたから心配するな。母さん達だってこれくらいはしたいはずだ。父さんも喜んでたぞ」
「ほんとですか…?。じゃあこれにしましょうか」
いい意味で、この親あっての彼だと思う。
彼と一緒に両親学級に参加をしたりしているのだが、最初はおぼつかなかった彼の手取りもなかなか様になっている。
「憧れてたんだ」と嬉しそうに人形に哺乳瓶を与える練習をする彼は可愛い。
子供が産まれたら育休をとると言っていたが、その3週間後程に彼の秘書である廣瀬さんも育休を取ったら会社は大丈夫なのだろうか。
交代で…とかそんな感じで回すのだろうか。少し心配だ。
お互いの旦那がいない時は2人で一緒にいようと楓斗君と話していたから多少は1人でも大丈夫だろう。
そこで大事なことを思い出す。
「…子供の名前、何にしましょうか」
「そうだな…いくつか考えてはいたんだがお前は何がいいと思う」
名前をまだ決めていなかった。
お互いに由来した名前もいいなと思ったが、やはりその子はその子なのだから自分達由来出なくても大丈夫なのではないかと思う。
「渚…とか男でも女でもどちらでも大丈夫な名前にしたい。この子が好きに生きられるようにと思いを込めてでもあるが…どうだろう」
「いいですね、僕もそう思います」
傍に置いていたメモ帳に渚、と自分が考えていた名前も書き加えていく。
「…これいいな」
彼がメモに書かれた名前を指さす。
「ゆう」だ。優しく、悠々とした子になって欲しいと思って考えてみたのだが気に入ってくれたのだろうか。
「ゆう、ですね。漢字はまだ決めてないんです」
「ゆうなら色んな漢字があるな…」
その夜はたくさんのことを話した。
結果、仮で「ゆう」とすることにして漢字は後々決めることにした。
「ゆう…パパだよ」
お腹を撫でながら語りかける彼をそっと見守る。
お腹が大きくなり、この子がお腹を蹴る度に自分は親になるんだなと思う。
「…子供が産まれたら奥さんのこと女と見れなくなるーていうのがあるらしいんですけど。…僕の場合どうなるんでしょうね」
「そうだな…俺らは性別上男同士だしおんなとして見れない…というのは分からない。だがお前がどんな風になろうと愛しているのは変わらない」
自分から言い出したことだが顔が熱くなる。
おちびごめんよ、心臓うるさくないか…。
全くこの人には敵わないな、と笑い彼に抱きつきキスをした
5
お気に入りに追加
1,500
あなたにおすすめの小説
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。
君は俺の光
もものみ
BL
【オメガバースの創作BL小説です】
ヤンデレです。
受けが不憫です。
虐待、いじめ等の描写を含むので苦手な方はお気をつけください。
もともと実家で虐待まがいの扱いを受けておりそれによって暗い性格になった優月(ゆづき)はさらに学校ではいじめにあっていた。
ある日、そんなΩの優月を優秀でお金もあってイケメンのαでモテていた陽仁(はると)が学生時代にいじめから救い出し、さらに告白をしてくる。そして陽仁と仲良くなってから優月はいじめられなくなり、最終的には付き合うことにまでなってしまう。
結局関係はずるずる続き二人は同棲まですることになるが、優月は陽仁が親切心から自分を助けてくれただけなので早く解放してあげなければならないと思い悩む。離れなければ、そう思いはするものの既に優月は陽仁のことを好きになっており、離れ難く思っている。離れなければ、だけれど離れたくない…そんな思いが続くある日、優月は美女と並んで歩く陽仁を見つけてしまう。さらにここで優月にとっては衝撃的なあることが発覚する。そして、ついに優月は決意する。陽仁のもとから、離れることを―――――
明るくて優しい光属性っぽいα×自分に自信のないいじめられっ子の闇属性っぽいΩの二人が、運命をかけて追いかけっこする、謎解き要素ありのお話です。
子育て騎士の奮闘記~どんぶらこっこと流れてきた卵を拾ってみた結果~
古森きり
BL
孤児院育ちのフェリツェは見習いから昇格して無事に騎士となり一年。
ある魔物討伐の遠征中に川を流れる竜の卵らしきものを拾った。
もしも竜が孵り、手懐けることができたら竜騎士として一気に昇進できる。
そうなれば――と妄想を膨らませ、持ち帰った卵から生まれてきたのは子竜。しかも、人の姿を取る。
さすがに一人で育てるのは厳しいと、幼馴染の同僚騎士エリウスに救助要請をすることに。
アルファポリス、BLoveに先行掲載。
なろう、カクヨム、 Nolaノベルもそのうち掲載する。
十二年付き合った彼氏を人気清純派アイドルに盗られて絶望してたら、幼馴染のポンコツ御曹司に溺愛されたので、奴らを見返してやりたいと思います
塔原 槇
BL
会社員、兎山俊太郎(とやま しゅんたろう)はある日、「やっぱり女の子が好きだわ」と言われ別れを切り出される。彼氏の売れないバンドマン、熊井雄介(くまい ゆうすけ)は人気上昇中の清純派アイドル、桃澤久留美(ももざわ くるみ)と付き合うのだと言う。ショックの中で俊太郎が出社すると、幼馴染の有栖川麗音(ありすがわ れおん)が中途採用で入社してきて……?
僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした
なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。
「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」
高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。
そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに…
その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。
ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。
かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで…
ハッピーエンドです。
R18の場面には※をつけます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる