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.. 潤也目線
しおりを挟む「…可愛い」
ぐっすりと寝る彼の髪をそっと撫でて呟く。
また無茶をさせてしまった。発情していなくても彼相手には止まらなくなってしまうのだ。
彼と繋がる行為も本当に幸せだが、何より彼の感じている顔が堪らない。
彼と出会ってからどんどん自分が変態になっているような気がする。
事後のシャワーを済ませ髪を乾かして寝室へ戻ると直ぐに彼は寝落ちてしまった。
まだ着替えていないのに、下着姿では風邪をひいてしまう。
彼にパジャマを着せようとしてふと手を止める。
以前、まだ彼と結婚してすぐのこと。彼にパジャマを買ってみたのだがあの頃は結局渡せずにいた。
それ以来忘れていたのだが、せっかくだから今着せてみたらどうだろうか。
クローゼットの奥から包みを持ってきて開封する。ふわふわとした布地にフードがついていて、耳がついている。
彼が着たら可愛いと思ったのだが…。
改めて、着せ終わって見ると自分の目に狂いはなかったと実感する。
今すぐふわふわの彼を抱きしめて寝たい。
自分もベットに入り、携帯のカレンダーを見る。会議や会食、また頭の痛い日々が始まってしまう。
が、その先にある10日程の休み。
彼と番になる、大事な日だ。
透と楓斗さんが料理をしている間に廣瀬と話したことを思い出す。
「番うってどんな感じなんだ」
「そうですね…。はっきりとは言えないんですけど、型にハマったというか…あるべき所に収まったような安心感があるんです。楓斗も精神的に落ち着くと言っていたので」
あるべき所に収まった、か。
世の中には運命の番という話がある。正直、都市伝説のようなものでまじないのようなものだ。
俺と透が運命かは分からない。けれど、そんな運命よりも彼が大切だ。
目の前にいる彼が愛しいと思う。
そう思いながらふわふわでいい匂いの彼を抱きしめて眠りについた。
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