こっち見てよ旦那様

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3 潤也目線

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考える間もなく、そちらから彼を抱き寄せ男を見下ろす。

「じ、潤也さん…大丈夫ですから、落ち着いてください」

彼の言葉にハッとして我に返る。
威嚇をしてしまったらしい。周りの客人が固まっている。
しまった…。

アルファは「威嚇」をすることができる。威嚇はベータや普通の人間がする言葉ばかりの威嚇なんかとは違う。本能的な威嚇、らしい。

正直、こんなことは初めてだった。
あまりの出来事に呆然としていると廣瀬が間に入ってくる。

「大変申し訳ありません、何せ潤也様は透様に首ったけでして、妻に対する愛ゆえでございます、お許しくださいませ」

頭を下げる廣瀬の手がこっそり自分の横腹を力いっぱいつねっているのは多分自分しか気がついていない。あとからお叱りか待っているだろう。
それはそうと、オメガの彼にとってはアルファの威嚇は恐ろしいものだろう。怖がらせてしまっただろうか。

「…すまない…怖かったか」

そっと抱いていた彼の腰を離し尋ねる。怖がらせてしまったら本当にどうすれば良いのだろう。

「いえ…大丈夫です。助けてに来てくれて嬉しかったです」

「そうか…」

力が抜ける。良かった、と心から思った。
それ以降、俺は透の傍から離れず、また客人も安易に透に近づくことは無かった。

そしてもちろんのことだが、パーティが無事に終わって早々に廣瀬に叱られた。
どうやらパーティのせいで休みが潰れ、番との時間が潰されて機嫌が悪かったようだ。

いろいろとついてない。
家に帰り、溜息を着くと彼が寝室に入ってくる。

「…明かり、まだ消さないか?」

「いえ…僕は何でもいいですけれど。潤也さんはまだ何かするんですか」

「いや…お前と話したくて…嫌じゃなかったら」

思い切って出した言葉に手が震える。心臓も飛び出てきそうだ。
 ダメか、と彼を伺うと最初は驚いた顔をしていた彼だが直ぐに笑顔になってくれた。

「はい、もちろんです」

そう言ってくれたのはありがたいのだが、話題がないことに気がついてしまった。
話したいことは沢山あった。が、いざとなると全て吹っ飛んでしまった。

口ごもっていると彼が楽しそうに笑う。不思議に思ってなぜ笑うのかと問うと「嬉しいから」と返ってきた。よく分からないが、笑ってくれるのは嬉しい。
だが相変わらず、彼には振り回されてばかりだ。
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