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愛なのか友情なのか
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しおりを挟む「そこの君、武器は持たないのか?」
「まだ武器という武器をきちんと扱ったことがないので、今日はこれで。容赦はいりません」
教官に尋ねられると奴は丸腰を意味するようにヒラヒラと手を振った。
だが少し怪しい。
奴は来たばかりで制服じゃない。
ゆったりとした独特の服だ。もしかしたら、あの中に何が隠しているか。
クラスで3番目に強い、ダガーと当たったようだ。あいつはタッパがある。
パワー系だ。
相性は悪そうだが、痛い目を見るのにはちょうどいいだろう。
「始め!」
教官の合図と共に睨み合いが始まるが特にマルクは構えることなくにこやかに佇んでいた。
ダッ、と突っ込んだダガー。大きく剣を振り上げる。鞘がついているとはいえ、打撃力がデカい。食らったらすぐに動くのは難しいだろう。
直撃、と誰もが思った瞬間、微妙にマルクの体がズレた?
剣は地面に当たり、ダガーは一瞬、戸惑ってしまった。マルクはその隙を見逃さなかった。
カン、と剣先に片足を乗せる。それくらい直ぐに退けれると思ったのだろう、剣を持つ腕に力を入れるダガーだがどうも動かないようだ。
マルクは重心の使い方が上手いのだろう。剣を交わしたのも微妙な体の動きを咄嗟に体現出来ていた。
さては相当なやり手だ。見くびっていた。
ダガー取り返せない剣を諦め肉弾戦に持ち込んでいた。
殴りかかった、と思いきやマルクの姿が消える。いや消えては無い。
隙のできたダガーの懐にピッタリ入り込み、いつの間にやら持っていたナイフでダガーの首筋をそっとなぞっていた。
「止め」
歓声が上がる。
そのまま2番の奴とも対戦したが結果は同じ。最終的に休憩を挟んだ後に俺に回ってきた。
やつの動きは無駄が少ない。
直球勝負は無駄だ。
それと、武器はあの服の中に隠されている。
「教官、武器を変えてもいいですか」
「構わない」
少し大柄のナイフを置いて、手足首に鉄の腕輪をはめて帯に小型のナイフを仕込んだ。
「疲れてないか、お嬢さん?」
「君こそ、退屈してたみたいだけど体寝てないかい?」
ふふ、とどこか揶揄うように笑う奴。
クソが。
だが久しぶりにワクワクしていることは確かだった。
ピリリ、とした真剣勝負の空気が2人の間に走る。
周りのクラスメイトや他の学年の奴らも騒ぎを聞けつけて見に来たものの、その緊張感に言葉を発せずにいた。
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