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愛なのか友情なのか
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しおりを挟む「隠者でもないのに男同士とか気持ち悪いって思う奴?」
「そうじゃねえよ」
思わず食い気味に答えるとふぅん、とくにしない様子でごろりと仰向けになって「眠~」と言い始めた。
「眠ぃなら戻れ」
「いーじゃん、ここで。…それとも何か嫌な理由でも?」
ニタニタと煽るような表情。妙に腹が立つというか、もやっと気持ち悪いというか。
「俺は1人で寝んのがいぃんだよ」
「はいはい、つれないなぁ」
もう、と大袈裟な演技をしながら俺のベッドから出て向かいのベッドへ潜り込むやつ。
本当は部屋にカーテンの仕切りがあるからそれを閉めればいい話だが…そういや閉めたことが無かった。
困ってないから別にいいが。
「おやすみ」
「…あぁ。おやすみ」
ランプのツマミを回すと部屋が一気に暗くなる。
俺もあいつも夜目が効くから視界にはあまり困らないが暗いものは暗い。
この日はあまり眠る気にならなかったが、明日な支障をきたすので目を閉じて瞑想をする。
これが1番眠らずに体と脳を休められる。
頭に浮かんできたのはなぜか、マルクが転入してきた日の事だった。
「聞いたか、転入生だってよ」
「へぇ、この時期に」
10数人しかいないクラスメイトの会話が耳に入る。
本来、春にある転入試験によって転入ができる制度だがごく稀に学期途中で転入してくるやつもいる。
「気をつけ!」
教官のパキッとした号令に先程まで騒いでいた奴らも動きを揃えて直立する。
「敬礼、座れ」
一応、武術科は軍系に属するのでこういった基本的な集団行動を強いられる。
入学当初は反抗的だったが、今では慣れっこだ。
「転入生だ。…とっとと入りなさい」
「登場した方がいいじゃないですか」
そう言って軽やかな足取りで入ってきたのはヴェールを軽く頭に被りまるで女性のような仕草のあいつだった。
「はじめまして、マルクです。…国々を旅して回っていました、得意なものはよくわかっていないけどよろしく」
雪のような白い肌にここらの国では見ない美貌に高い声。恐らく作り声とみたが、上手い。普通のやつじゃ分からないだろう。
女子とは別棟で会う機会もあまりないのでクラスメイトは久しぶりの女(?)にザワザワさていたが、マルクがヴェールを取って地声になった瞬間落胆した声が各所から聞こえた。
「残念ながら男ですね」
それでも休憩時間になるとクラスメイトは案内と称してマルクに寄っていった。
「…次は訓練だろ?楽しみだよ」
「得意な武器ある?」「武術とか経験あるか?」と質問責めにあいながらも迷惑な顔ひとつみせずむしろ楽しげに答えていた。
「…いい潤いってもんか」
転入は入学よりも難しい。強いやつというのは見ただけの雰囲気でわかるものだがあいつからは何も感じない。
もしやその見た目で入ったか…賄賂か、体か。
何かは知らないが腐ったもんだな、なんてその時の俺はあまり良い気持ちを抱いては無かった。むしろ見下していたに近い。
そんなことは直ぐに覆されたわけだったが
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