運命とは強く儚くて

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「賑やかな人で楽しかったよ。…ヒースは同期だよね、友達?」

「友達じゃないですよ。…なんつーか、腐り縁みたいなもんです」

あいつと友達とかごめんですよ!なんて笑うヒースだが満更でもないような様子だ。

「武術部だと確かマルクは2位卒業だったな」

「あー…あいつ実力あるくせにあんな感じで不真面目だからですよ」

「本人は気にしてないですけど」と皇帝と話すヒースに手招きし、お茶の席に同行させる。

ここに来た時はやんちゃな男の子だったのに今やしっかりした青年だ。

「マルクは途中入学だったんすけど、初っ端からジャグリングしたり屋根昇ったりおかしい奴でしたね」

「…ヒースも屋根に登ってたでしょ?テオから聞いたよ」

「うわ、バレてましたか。…でも俺はこっそりやってましたから、あいつはもう派手にやるんですよ」

想像が着く、と華やかな身のこなしのマルクを思い出す。

「マルクは北の国出身だろうか。…我が国の属国でも同盟国でもない、もっと先の氷に包まれた北の国てはないか?…俺の祖母がそこ出身だ」

「どうなんですかね…本人は覚えてないって言うんですけど、見た目からしてそうだと思いますね」

マルクの美しいシルバーブロンドと瞳の色を思い出す。確かに陛下の長い銀髪と似ている。
雪に囲まれた国があるのか、と少し興味を持ちつつお茶を楽しみその後は各々仕事へ向かった。




「ただいま戻りました。…なにか考え事ですか?」

「テオ、おかえり。…いや、マルクとルカは上手くやれてるかなぁって」

「大丈夫だと思いますよ」

ペンを走らせていた手を止め「どうして?」とテオに尋ねてみるとテオが「勘です」と即答する。

勘か…。

「しばらくすれば分かりますよ」

テオは結局そう言って教えてくれなかった。




「ルカ、マルクには会った?」

「うん!あのね、すっごいんだよ!」

夕食時、マルクと共に少し遅れてやってきたルカに尋ねてみると勢いよく話し出した。

「あんまりほんにのってないとおくのくにとか、きかいとか!いろんなことしってるの」

「そうなんだ。…また僕にも教えてね」

「うん!」

ルカの後ろに控えているマルクに視線をやるとにっこりと微笑まれる。
あの様子だときっと、すぐにルカを見つけ出せたに違いない。

「…デニス、明日はヒースとジュダを連れて子馬を選びに行くといい。お前も好きな馬を買え」

「おとうさま、ぼくもにいさまといきたい」

「行っておいで。きちんとデニスの言うことを聞くんだぞ?」

「うん!」と元気に頷いたルカだが、大人しくしていた試しは1度もない。
まあ、マルクもいることだし大丈夫だろう。


少し心配しすぎ?と内心自分に思いながらお茶を啜った
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