136 / 154
Ⅳ -1
1
しおりを挟む「お久しぶりです、陛下、エディ様」
「久しいな。…また背が伸びたか?」
「はい、少し伸びました」
ルカが生まれてから6年の月日が流れた。
ヒースは次の年に帝都立の寄宿学校に皇帝推薦で入学し、18歳になったこの歳、先日武術武首席で卒業した。
正式にテオの元で自分の護衛と兼近侍見習いとして動いてくれる。
「ここに来た時はあんなに生意気な子供だったんですけどね」
はは、とすっかり背を越されたヒースの肩をバシンと叩くテオ。
在学中もしばしばテオに指導を受けていたらしいがこれから本格的に修行が始まる。
「しっかり扱きますからね」とテオは楽しそうだ。
背は長身のカレルとも変わらないか少し高いほどにもなり、強気で精悍な顔つきをした立派な青年になった。
ジュダとデニスは1学年違いで在学中だが、今は春休みで帰っている。
もうすぐ来るだろう。
ジュダは本人の希望もあって試験を受けて推薦を貰い受けた。
デニスは第1皇子ということもあって賛否両論はあったものの、皇帝と話し合い沢山の人と触れ合って学んでほしいと試験を受けることを許可した。
無事に学問の才を認められて贔屓なく推薦を受けられた。
贔屓を気にして書類や試験は匿名で行って少し怒られたが…。
あんなに小さかったのにもう2人は10才と11才。生まれたばかりのルカももうすぐ6才で来年は試験を受ける。
ルカは一般的な学問や武術は可もなく不可もなく、やった分だけの成績を残す子ではあるが、あまり興味はないようで、船のカラクリの仕組みや大砲や工場の機械の仕組みなどに興味津々だ。
実際、その分野だけ5歳には難しい学術書を読み漁り、模型を作ったりと驚かされる。
「春休み中、デニス達がかまってもらおうとしてくるかもそれないけどごめんね」
「任せてください。…久しぶりにパーッとチビたちと遊ぶのも楽しいですから」
少し口調が砕けたヒースに一同微笑ましく笑い、しばらく談笑した後解散した。
「大きくなってましたね…ヒース。子供たちも成長するばかりで、僕は年取ってるなぁって実感します」
「俺の方が年はとっている。…そうだなぁ、爺と言う歳では全くないが落ち着いてきたと言うべきか」
「ですね。…落ち着いた陛下も僕は好きです」
「お前に言われると嬉しいな。…まだいろいろと衰えてはいないぞ」
「それは僕が1番分かってます」
夜とか。
本当にそれだけは落ち着くことも無く、なんというか前までは勢いがあったが今ではゆっくりと溶かされていくような感じで恥ずかしいというか。
0
お気に入りに追加
377
あなたにおすすめの小説

成り行き番の溺愛生活
アオ
BL
タイトルそのままです
成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です
始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください
オメガバースで独自の設定があるかもです
27歳×16歳のカップルです
この小説の世界では法律上大丈夫です オメガバの世界だからね
それでもよければ読んでくださるとうれしいです

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!

目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

孤独を癒して
星屑
BL
運命の番として出会った2人。
「運命」という言葉がピッタリの出会い方をした、
デロデロに甘やかしたいアルファと、守られるだけじゃないオメガの話。
*不定期更新。
*感想などいただけると励みになります。
*完結は絶対させます!

僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる