運命とは強く儚くて

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テオとカレル

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「…人と寝れる?」

「余裕っす。領主のとこに来る前はチビたちと寝てたし…拾われた後もチビ達が寝れないっていうから一緒に寝てたし」

「いい兄貴分ってことだね」

いつもはカレルと寝るベッドが少し広い。
一緒にいれば居るほどヒースの子供っぽさというか、年相応の面が見れて面白い。

数分後、早々に寝てしまったヒースを確認して、そっとジュダの部屋を覗いてみる。

「…寝た?」

「寝たよ」

起きていたカレルが小声で答え、そっとベッドを抜け出してくる。

「寝てなくていいの?」

「いいんだよ。…君との時間の方が大事だ」

「っはは、男前」

カレルに立っての抱っこは強請らない。
自分の方が小柄ではあるが、筋肉量の分、重さはあまり変わらないのではと思うからだ。

だからカレルが座った時だけ膝の上に乗る。

「テオ、少し痩せたか?」

「軽くなった?」

「そういうのではないけど…なんか触った感じが」

ほら、とお腹や背中周りを触ってくるカレルの手を軽く叩きながら少し戯れる。

「ま、最近鍛錬きつめにしてたし…体絞れたかもね」

「そうか…あまり無理をしないようにね。しっかり食べて」

「分かってるよ、心配性。…俺も歳とったからさぁ、まだ衰えたくないし」

ジュダが1人前になるまでは現役でいたい、と笑うと抱きしめられる。

「……まだはっきりとは分からないが…最近、西方で不穏な空気が流れている。大丈夫だとは思いたいけれど…」

戦になるかもしれない。…最後に大きな戦があったのは4年前…エディ様がこの帝国にくるきっかけとなった戦だ。

西方の国と言えば、草原の広がる土地だ。
特に、小国を挟んだ場所にある大国スメリカとは先々代に1度戦をしており、引き分けで終わっている。

互いに大きな被害も出た為、それ以降は戦が怒ることも無く、干渉しないように接してきていた。

しかしスメリカの皇帝が数年前に代わり、隣国を攻め始めたことによってピリピリとした状況になっているらしい。

「いくら私たちの国が強くても、今あちらと戦をするのは良策では無い。…しばらくすればデニス様とルカ様のお披露目の儀もある」

カレルの頭を撫でつつ戦か、とため息を着く。やっといろいろ落ち着いたと思えばまた厄介事か。


自分もいくつか戦に参加したことはある。小さなものとはいえ人が死ぬ。
気持ちの良いものでは無い。

「ルカ様は元気かい?」

「これ以上ないくらいにね。たくさん泣いて乳を飲んで、乳母が手を焼いているくらい」

「それは良い事だ。…まあ、うちにも元気なのが今は2人もいるから変わらないか」

ふふ、と笑うカレル。全く、ヒースはうちの子になった訳でもないのにと思わず笑ってしまう。
確かに深く肩入れしてしまっていることには間違いないが。

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