運命とは強く儚くて

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Ⅱ- 11

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「…可愛いな」

執務の合間合間にルカとエディの様子を見るのが楽しみになっている。
エディはまだ体が自由に動かせず、一日の多くを睡眠に費やしているが起きている間はルカに可能な限り授乳をしたり、診察を受けたりと忙しそうだ。

お腹がいっぱいになってスヤスヤと眠るルカと隣で同じく、スヤスヤ眠るエディ。
見ているだけで疲れが飛んでいきそうだ。

しばらく2人を眺め、外へと目をやる。
一昨日の早朝からカレルがデニスを迎えにラマール領まで出ている。
ラマールは遠くて、馬車なら一日かかってしまうのだ。

約1週間越えのデニスの遠出、元気だろうか。手紙の様子からは元気そうだがやはり会いたくなってしまう。

今日の昼頃、もうすぐ戻ると聞いているが、まだだろうか。






「皇帝陛下、カレル殿がお戻りです」

「今行く」

兵が知らせを持ってくると、直ぐに広間へと降りていく。
数人の護衛と荷物の傍に見慣れた小さな姿が。

「デニス!」

「おとうさま!」

パタパタと駆け寄ってきた我が子を抱き上げ、抱きしめる。

「元気だったか?…ラマールはどうだった?」

「たのしかった!…あとね、もっとたくさんあってね」

「はは、ゆっくりお茶でも飲みながら聞かせてくれ」

「腹は減ってないか」と聞くと「おひるはまだ」と言うので軽食の用意を命じ部屋へと向かった。

途中、ジュダにも1週間デニスが世話になったと礼を言おうとしたがカレルとテオに囲まれ楽しそうな3人を見てそっとしておこうと思った。


「おとうさま、おとうとができたってほんと?」

「ああ、お前に弟ができたんだ。…後で会いに行こう、エディも喜ぶぞ」


デニスに軽食を取らせながらラマール領での話を聞く。報告通り、デニスは簡単な護身術と主に戦術などの人をまとめ動かすのに必要な知識を学んできたらしい。
まだ幼い本人はゲームと思っているがやはり賢い子で、老戦士が思いつかない発想をするらしい。

「もっとべんきょうしていろんなくにのことばをおはなししたい」

「それは良い事だ。学びたいことは全て学ぶといい、なんでも父やアッシア、カレルに言いなさい」

「うん…!」

学ぶことが好きなのは1種の才能だ。それを本人が楽しいと望むのなら父として、皇帝として伸ばしてやりたい。
食事を済ませ、エディが起きていそうなタイミングを見計らってエディの寝ている寝室へ向かう。

「おかあさま…!」

「デニス、おいで!」

広げられたエディの腕の中に飛び込むデニス。デニスもまだ幼い、1週間も離れていたのだからエディが恋しかったのだろう。

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