運命とは強く儚くて

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Ⅱ- 10

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「…お前はどんな名前がいい」

「僕ですか?…」

「ああ、お腹を痛めてこの子を産んでくれたのはお前だからな。…お前に名前を贈ってやって欲しい」

「わかりました」

そう言って考え始めたエディから我が子を抱かせてもらう。
柔らかくて温かい。…なんて愛しい存在なのだろう。
勿論、デニスも愛しい我が子だ。だが生まれたばかりの赤子とはこれほどまでに庇護欲をわきたてられる存在だったとは。

エディ譲りの赤褐色の髪にそっと頬擦りする。まだ毛量は少ないがきっと彼に似た子になる。まあ、顔は俺似だが。

エディとデニスは赤褐色の柔らかい毛に澄んだ翠の瞳だ。
2人が並んでいるとそれはそれは可愛らしい。
 
目鼻立ちのはっきりとしたものは分からないが、愛しい我が子であることに変わりは無い。

 「ルカ…」

ぼそ、とエディがつぶやく。

「ルカ、か。良い名ではないか」

「あ、いえ…思いついたまま口にしてしまいました。…昔、姉がよく話していた物語にいた天使の名前なんです」

ふふ、と思い出し笑いか、幸せそうな笑みを浮かべるエディ。
思わず彼の頭を撫でる。

「いいではないか。俺は気に入ったぞ」

「本当ですか。…ではルカにしましょう、僕たちの天使…ルカです」

「ルカ・レジアニ…我が国の第二王子だな。」

エディにルカをもう一度返し、デニスのことを話していると侍女が授乳について話にやってくる。

今日までは専属の乳母に授乳を頼んでいたが、せっかくエディが起きたので試してみるかとの話だった。

「確かに胸は張ってるんですけど…本当に出るのでしょうか」

そんなことをしていると、やはりお腹が空くのかルカがエディの腕の中で元気に泣き出した。

「出ても出なくても、試してみるだけならよいだろう」

「そうですね。お腹も空いてるみたいだし」

エディが服をはだけさせ、胸当てを取るとふっくらと膨らんだ胸が顕になる。
女人には及ばないが、ふっくらとして、くわえやすいようにか先端がつんとしている。

…こんなことを言っていいのかは分からないが…自分も吸いたい。



侍女に教えてもらいながらルカの小さな口元に胸をあてがうエディ。
少し苦戦しつつもやつとのことで咥えてくれたらしい。

「飲んでます…!すごい…」

飲んでる時は静かだね、と聖母のような彼の姿を崇めているとすぐにルカが口を離してしまう。

心配そうな顔をするエディに侍女が付け足した。

「乳母様の元でもこんなご様子でした。恐らく食が細いのでしょう、ご心配なさらずとも何度かに分けて授乳をして頂ければ問題は御座いませんよ」

「そっか…。できるだけ自分で育てたくて…もし良かったらご飯の時は連れてきてくれると嬉しいな」

「もちろん、こ自分の御母上に育ててもらった方が良いです。その時はお連れ致しますね」

「ありがとう」

教えてもらいながらゲップをさせると、すぐに寝てしまった。
彼も疲れただろうからルカを引き取ってもらい、エディを寝かせる。

「…お腹すきました」

「もう数日もすれば普通の食事を取れるだろう。それまでに食べたいものを考えて置いてくれ」

「はい。楽しみです」

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