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Ⅱ- 10
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しおりを挟む「…っつ……」
何となく見慣れない場所で、目を覚ます。
頭も体もとてつもなく重たい。
身体を起こそうと力を入れると全身がビキビキと傷んだ。
「后様、お目覚めですか」
部屋の隅にいた侍女が「安静になさってください!」と慌てて出ていったので大人しくベッドに身体を預けるとベッドの横に見たことの無い機械が。
そこから管が通って、なんと自分の腕に三本程刺さっていた。
「えぇ…」
痛くは無いが怖い。
何故こんなことにと考えると電撃のように記憶が蘇る。
そうか、無事に子を産んだんだ。
皇帝は今どこにいるのだろう。我が子はどこにいるのか。
デニスにも早く教えてあげたい、元気にやっているだろうか。
そう思いながら待機していると医師と共に皇帝が部屋に入ってくる。
侍医と、見慣れない中年の医師だ。
「意識がある状態では、お初にお目にかかります。皇帝にお招き頂いた者です。…現在、后様の腕に繋がっております管は点滴というものです」
「点滴?」と首を傾げると説明をしてくれる。なんとも、新しい医療技術で体の中に直接栄養や水分、薬を入れられるらしい。
少し得体の知れないもので怖いと思ったが、出産後、昏睡状態になりそうだった自分を助けてくれたのだから信じる。
「とにかく…目が覚めてよかった。出産からは3日経ったのだからな」
皇帝に撫でられ、額に口付けられる。
「…僕も赤ちゃんに会いたいです」
「もちろん、連れて行こう。が、医師殿の判断を聞かねばならん」
「もちろんです。…ですが、后様が移動するのはお体に負担がかかります。皇子をこちらへお連れします」
「ありがとう。…赤ちゃんは元気?何か弱ってたり…」
「いえ、后様のおかげでとても元気な男の子です」
「良かった」
安堵した。
その後、軽く診察を受け、繋がっていた管は1本だけになり、その場で薬と重湯と一口の粥を食べた。
噛む感覚が妙に懐かしい。
「后様、陛下、失礼致します」
「ほらエディ、来たぞ。我が皇子だ」
テオとカレルが揃って赤ちゃんを連れてきて、そっと抱かせてくれた。
すやすやと眠っている。
ふにゃふにゃしていて、柔らかくてあったかい。
「…やっと会えたね」
小声でそう語りかけ、小さな小さなてを指で擽るとぎゅっと強い力で握り返される。
「可愛い…」
これを見てしまったら、もうあの痛さも、今の痛さも楽になる。
なんとも言えない気持ちで目をうるませていると皇帝が肩を抱き寄せてくれる。
「愛いなぁ…髪がお前そっくりで愛らしい」
「顔は皇帝そっくりですけど」
「それは嬉しいことだ。」
小声で話していると「名前を付けなくてはな」と皇帝がつぶやく。
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