運命とは強く儚くて

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テオとカレル

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引き続きジュダの鍛錬を見ながらカレルと話す。
ちなみにカレルは先程まで剣術をしていたが、疲れたようで少し休憩に入っている。
…体力ないのだろうか、そんなところもら少し可愛らしい。

「ラマール領に修行…か」

「そう。…たしかにいい機会だと思う。同年代の子との鍛錬はいい刺激になるし強い子もいる。剣術体術もここだと大人しかいないから本気で出来ない。」

先程、兄さんからジュダをラマール領に5日ほど滞在させて練習をしたらどうかと提案をされた。
ジュダも行きたがっていたし、今も見る限り兄さんと鍛錬をするジュダは楽しそうだから行かせてやりたい。

「…行ってみてもいいと思う。…けれど問題があるね」

ふー、と息を吐きながらカレルが立ち上がる。

「その間のデニス様の護衛はどうするか…まあ、それはどうとでもなるけれど…」

「陛下とエディ様に相談だね」

「そうだね。…まだかかりそうなら今から行ってこようかな」

「私はまだ見てるよ。…体が訛りすぎている」

「そうみたいだね。…カレル、いつもあんなんだからもっと体力あると思ってたよ」

夜はあんなに、と揶揄うつもりで笑ってみるとカレルが「あれは別ものだよ」と苦笑する。

汗を拭きながら一旦別れ、エディ様の元へ向かう。


今は朝食も終えてゆっくりしている頃だろう。
庭園の温室にいると聞いたので尋ねてみると、エディ様と彼よりいくつか年上の男性や女性が談話していた。

「エディ様、少しよろしいでしょうか」

「テオ…どうしたの?…こちら、しばらく一緒に居てくれる方達だよ」

「護衛のテオと申します。どうぞよろしくお願い致します」

初産のエディ様の為に皇帝とカレルが激選して呼んだ出産経験のある隠者の男性や女性達だ。

…あの褐色肌の綺麗な男性は同盟国アリ国王の后の1人ではないか。この客人たちの中では1番身分も高いであろうし、エディ様と歳も近いからか仲が良さそうだ。

「それでどうしたの?…お兄さんと一緒だと思ってたけど」

「実は…」

一部始終を話すとエディ様が少し考えた後、「気にせず言って欲しいな」と口を開いた。

「デニスは少し寂しがると思うけれど…。最近はジュダに剣術を教えて貰っているようだから。けどジュダが行きたいなら行かせてあげて欲しいな」

「それならデニス様もご一緒にいらしてはいかがでしょう。…護衛は十分お付けいたしますし、あちらには教育者もいます」

出すぎた真似かもしれないが、デニス様はこれならも命を狙われる側、何か身を守る術を得ておいて損は無いだろう。

「それいいね」

嬉しそうに声をあげたエディ様が慌てて口を噤むと客人達が楽しそうに笑う。

「で、できるならそうしたいな。もちろん、皇帝とカレルさんにも言わなきゃ行けないけれど。陛下には伝えておくよ」

「ありがとうございます」


とりあえず行ける方向で良いのだろうか。
良かった、と安心する一方でまたしばらくジュダに会えないのかと思うと少し寂しい。

自分もまた任務が入ってしまうし、一緒にいられる時間が少なくなってしまうが…いられる時をいっぱいかまってあげようと思った。
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