運命とは強く儚くて

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Ⅱ -7

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「おかあさま!」

「おかえり」

祭典最終日の夜、デニスの部屋で待っていると帰ってきたデニスが駆け寄ってくる。

お腹を気遣って抱きついて来ないのだろうか。
ぎゅっと抱きしめてやると嬉しそうに腕を回してきた。

「楽しかった?」

「うん!あのね、おみやげあるよ」

「ほんと?嬉しいな。…お話も聞かせて?」

「うん!おとうさまは?」

「おとうさまはお仕事。もうすぐ来るから、先にお風呂に入ろう」

「はぁい」

テオとジュダはカレルさんと一緒にテオのお兄さんと過ごしている。
久しぶりに1体1でデニスの世話をするので懐かしい。

デニスをお風呂に入れて、ふわふわの髪を乾かしてベッドに入れる。
子供部屋といっても、ずっと使えるような大きなベッドなので自分も入れる。

陛下を待つ間、ベッドの中でデニスのお土産話を聞いていると陛下がやってくる。

装飾品のみを取って、執務が終わったあとすぐに来てくれたのだろう。

「おとうさま!」

「デニス、立ち振る舞い立派だったな。流石俺の息子だ」

わしゃわしゃと陛下に頭を撫でられ嬉しそうに声を上げるデニス。

デニスを挟むようにベッドに入り、デニスの気の済むまで話を聞いた。
そのうち話疲れてすやすやと眠るデニスを起こさぬように部屋に戻り、デニスからのお土産を開けてみる。
綺麗なショールと金糸が一緒に編み込まれた草冠。

「これは…」

「それはこの国の伝統的な冠だ。…本来なら結婚式に付けるものだが…最近は夫婦を結ぶものとして扱われているな」

「俺ももらった」と小さな化粧箱から自分が持っている草冠と同じものを取り出して見せる。

「これを揃えて着けると永遠に愛し合い、共に過ごすことができる、とな。…俺達には似合いだろう」

「そうですね…ずっと一緒です」

なんだか嬉しい。
枯れたら嫌だからドライフラワーにして保存しようかな、なんて思っているとお腹の張ってそっとさする。

「大丈夫か」

「はい。…ますますしっかりしてきて、教えてもらったんですけれど、そっと触るとなんとなく頭の位置が分かるんです」

「そうなのか?…どこだ」

陛下がしゃがんでお腹に顔を寄せる。
そっとお腹に手をはわせて探ってみると下腹部になんとなく小さな丸まりが。

「多分これが頭です」

「そうか。…聞こえてるか?無事に産まれてくるんだぞ」

熱心に語りかける彼の頭を撫でる。
たまに陛下も子供みたいに見える時がある。

「…この子の部屋の用意もしていこうと思う。性別は分からないから迷うが…基本のものは揃えた」

「ありがとうございます。…贈り物もありますし、特に不足は無いと思います」

今回の祭典でデニスや皇帝、自分までもが大量の贈り物をもらった。
その中に自分の懐妊を知っているものから赤子用のものも贈られたりしていたのだ。

「贈り物もいいが…俺から贈ったものを使いたいものだが…」

むう、と少し不満そうな彼を抱き寄せながら「大丈夫ですから」と宥める。

はやくこの子にも会いたい。
お産は怖いがそう思えた。

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