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Ⅱ -6
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しおりを挟む「お久しぶりですな!御二方」
数組目に現れたのはユーテリア王国のアリ国王。
相変わらず明るい国王だ。
「遠路はるばる、ご苦労だった。…見ての通り、第2子を授かったのだが、そちらも王子が誕生したと聞いた」
「それはおめでたい!…ありがとうございます、リィアが産みまして、まだ日が浅いものですから本日は不参加としてます」
ユーテリア王国を訪問した時に知り合ったリィア女王、とても優美な方だった。
お祝いの手紙を書かなくては、と思いながらアリ国王にもお祝いの言葉をかけた。
「この国はユーテリアのよりも寒いでしょうから、風邪を召さないようにしてくださいね」
「ありがとうございます。…うちの妃の中に、男の隠者で出産したものがいます、また助言の手紙をか書かせましょう」
「感謝する」
「では、また祭典で」
あんなに大勢、男女問わず妃がいるのだから情報は豊かそうだ。頼りがいがある。
「あと何組ですか?」
「国外からの来賓はあと数人だ。…体調が悪いか?」
心配そうに羽織をかけ直してくれる皇帝に首を振り、「大丈夫ですよ」と伝える。
「夕方から夜になると、少しお腹が張りますが今は大丈夫です」
「誠か?…頼むから無理はするな」
「ありがとうございます。…次の方を」
「疲れたなー…」
自分の役目が終わり、自室にテオと戻るとつい口調が戻ってしまう。
こういう時は、素の口調というか、昔の下働き時代の口調になってしまう。
ここに来て、后になって口調は大分変わった。テオに怒られるだろうかと口を抑えるとテオが驚いたようにこちらを見て、直ぐに笑った。
「…エディ様も、そのような口調に戻るんですね」
「こっちの口調の方が長かったから…仕方ないよ」
「俺と2人の時くらい、そうして頂いてかまきませんよ」
「…そう?…でも僕さ、下働きの中では結構口調がいい方だったんだよ」
「育ちが良かったのですか?」
「ううん。…姉さんが、下女でも口調に厳しくされてたから移ったんだよね」
「なるほど」
「…デニスとジュダは…どうしてるのかな」
「今は客人用の棟のお部屋で過ごされています」
「カレルさんは?」
「来客の相手と、祭典の仕切りですかね…とりあえず、祭典が終わるまではなかなか会えません」
「夜は?」
「どちらかが寝ているか…俺は護衛で泊まったりするので」
「そっか。…2人ともいつもありがとう」
「いえ、やりたくてやってるので」
サラッと発したテオの言葉に胸が熱くなる。こういう所はテオのかっこいいところだ。
「そういえば、俺の兄が来ているんです」
「お兄さんが?…確かラマール家だったよね」
「はい。…ジュダにも会いたいと言っていたのですが、今回は難しそうですね。今夜、カレルとは会うらしいんですが」
「…テオは会わなくていいの?」
「俺は今夜は予定がありますから。…祭典の最終日、会うことにします」
「その時にジュダを連れていきなよ」
「ですが…」
「最終日なら大丈夫。…もし難しいなら、滞在時間を延ばしてもらって構わないし」
せっかく仲の良い家族がいるんだ、会える時に会った方がいい。
「ありがとうございます。…兄とカレルにそう話を通しておきます」
テオも少し嬉しそうだ。
話を聞く限り、お兄さんとは仲が良さそうだし少し羨ましい。
自分も姉さんが生きてたら、どんな感じだったのだろう、なんて少し考えてしまう。
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