運命とは強く儚くて

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テオとカレル

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ジュダを探しに、デニス様の元を訪れると王族のための授業の最中でジュダはいなかった。
アッシアによると、退屈だろうし自由にさせているらしい。
いつもは一緒に授業を受けているらしいが今日はやることがあるとどこかへ行ったらしい。


さて、どこへ行ったものか。

考えながら外へ出て鍛錬場へと歩いていると何やら気配を感じる。

殺意は無い。

警戒しながら調子を止めずに脚を進めていると、どうやら追ってきているようだ。

足音や物音はほとんどない。成人男性じゃない、女性でもない…となると子供。

…なるほど。

鍛錬場までそのまま足を進めて手前で立ち止まると、振り返って手を広げる。

「そろそろ出ておいで、はやく会いたいよ」

と木の上に声をかけるとするするとジュダが降りてきて飛びついてきた。

しっかりと受け止め、抱き上げて頬擦りする。

「ただいま、また1人にしてごめんよ。…いい子にしてた?」

「ちちうえ…いたから、大丈夫。…してた」

「そっか、えらい。今から明日は一緒にいられるよ、何したい?」

「…けいこ…!」

そう思った。
この年頃の子が親に言うことと思えば遊びたいだの言うと思うが、余程この子は鍛錬が好きらしい。

…自分も昔はそうだったな、なんて思いながらジュダを下ろし、手を取って鍛錬場へと入る。

「じゃあ…特訓の成果を見せてもらおうかな」

「はい…!」

嬉しそうなジュダと軽く走り込みやウォームアップをして、石段へと腰掛け、ジュダの構えからの一連を見守る。

す、と構えた時からの切り替え、基礎動作の突き、蹴り、受け…跳んで蹴り…。

これで4歳か。
磨けば磨くほど光る、ダイヤの原石だ。

自分のように無理はさせたくない、させたくないが伸ばしてやりたい。
この子が望むのなら。

一通り終えて、体制を整えたジュダが息を整えながらこちらをモジモジと見てくる。

「すごいよ、とっても上達してる。…頑張ったんだなぁ」

立ち上がってそばに寄り、わしゃわしゃと頭を撫でてやると嬉しそうに笑った。
可愛いらしい。

「…なおすとこ…教えて」

「そうだな…まずは体幹かな、まだまだ成長途中だから地道にやっていけばいいよ。体作りもやってみようか」

楽しそうに頷いたジュダの頭をもう一度撫で、今度はナイフの動きも見せてもらう。

明日は森に行って、狩の仕方や弓矢も教えたい…足場の悪いところでの戦い方や生き延び方…教えたいことが山ほどある。

まだ幼い、焦らなくても良いのかもしれない。けれどこの子に自分のもつ全てを与えたくて仕方がなくなってしまう。

その後、強請られて新しい技や動きを予定よりいくつも教えることになった。

嫌でも立場上、やらなきゃいけない時がある。
それまでは楽しんでほしい、自分のようにはなって欲しくない。

そう思いながら夢中で動作を繰り返すジュダを見守った。
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