運命とは強く儚くて

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Ⅱ -4

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「体調はどうだ?」

「少し楽です。…いいんですか?抜けてきて」

「自分の妻の心配をして何が悪い。…大丈夫だ、休憩、ということにしている」

妊娠がわかって2、3ヶ月経っただろうか。最近はどうしても体が怠かったり、胃がムカムカしたりと体調が良くない。

デニスが産まれる前も、姉さんがこんな感じだったな、なんて思い出し出しながら息を着く。

皇帝はというと、過保護さがさらに増して仕事の合間をぬって見舞いに来てくれる。



「テオはどうした?」

「テオには、これを機に自由に過ごしてもらいたくて。…代わりの人が傍にいてくれるので大丈夫ですよ」

妊娠が分かった時からいてくれている、テオの長年の部下という人が2人。
他にも影で動いてくれているというのだから本当に頭が上がらない。

その旨をテオに言うと「皇帝の子供ですから、当たり前です」と言いきられてしまった。

とにかく、自分ができることは無事に産むことらしい。男の隠者の出産は難しいと言われているから、怖い。

まだ膨らみのないお腹を撫でながら「頑張ろうね」と呟いてみる。

「そうか。…また何かあれば直ぐに言え。私は戻らなくてはならない」

「はい。頑張って来てください」

キスを交わして再び公務へと向かった皇帝。
そしてまた1人。

退屈だ。
1日寝るのも辛くて、本を読んだり、軽く仕事をしたり、体調が良ければ散歩をしたりの繰り返し。

唯一の楽しみは…。


「おかあさま!」

「デニス、おかえり。…今日もお話聞かせてね。ジュダも、ここに来て教えて?」

「は…い…!」

ベットの脇の椅子に掛けてもらい、お菓子を上げながらふたりの話を聞く。
今日遊んだこと、教会であったこと、勉強した事。

デニスはおしゃべりだが、相対的なジュダはあまり話さない。
が、デニスの話にうんうんと楽しそうに相槌を打ったり、デニスが忘れたり詰まったりした所を小声で教えてくれる。

仲良しだ。

テオは最近、近衛隊の任務を手伝っているらしい。最初こそ、迷っていたが本人はやりたそうだったので業務を大幅に減らした。

しばらく出歩かないし、既に傍に2人も3人もいるのだから大丈夫だろう、と。

「ジュダ、寂しくない?」

「だいじょうぶ…です。ちちうえ、いるから…。」

「そうか。…もしかしたら、カレルさんの方が寂しがってそうだね」

「…はい…さみしそう」

テオは任務で帰るのが遅かったり、帰らなかったりする日があるそうだ。
ここ1年程、そんなことがなかったから慣れないのだろう。カレルさんの寂しがる様子が目に浮かぶ。

「もうすぐ帰ってくると思うよ」

2人の頭を撫でて、また話を聞き終わるとお菓子を持たせてまた遊びにいかせた。

少し、元気になった。

またしばらく公務の資料にサインをしたり、目を通したりしていると部屋のノックと共にテオが帰ってくる。
全身黒くずめの、完全武装だ。

「ただいま帰りました」

「おかえり。…ジュダ達にはもう会った?」

「いえ。…驚かそうと思って、もう少し後で行こうと思っています」

疲れているだろうと座って貰いながら話をねだる。
今回の任務は暗殺と護衛、紛争の実施訓練らしい。新人やまだ本番を経験していない隊員についてサポートしたり教えたりしていたそうだ。

任務一つ一つの難易度は低いものの、たくさんの小隊を回ってサポートしなければならない為大変そうだ。

「ついでにと言ってはなんですが、反対派…エディ様やデニス様へ反抗心を抱いている貴族達のことも探って参りました」
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