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テオとカレル
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しおりを挟む「聞いていたのか」
「…」
俯いて頷くジュダの頭を優しく抱きしめる。
そんな心配をさせてしまっていたとは。この子のことだ、妙な気を使っているに違いない。
育ちのせいか、ジュダは偏って大人びている。悟りが良いのに反して、人間関係に慣れていない分どうしたら良いか分からず苦しんでいるのだろう。
「テオはね、ジュダに無茶をして欲しくないんだ。…私だって、ジュダが怪我をしたらとても悲しい。」
「…うん」
「テオもね、昔はよく大きな怪我をしていた。…だから怪我をした時の苦しみがよく分かっているし、その苦しみをジュダにして欲しくないんだよ」
「…ははうえが?…つよいのに」
少しジュダの目が輝く。
「そうだよ。テオは強いけど、無茶ばかりしていたからね。…つとめを果たすためなら自分から死ぬくらいだ」
「…もうしない…?」
死んでしまう、という言葉に不安そうなジュダを撫でる。もうしない、とは言いきれない。
ておは、エディさんやデニス様、皇帝が命の危機にあっていれば無茶をしてでも、それこそ自分後を呈してでも守ろうとする。
自分だってそうだ。
「…難しいけれど、よく聞きなさい。…私たち一家は皇帝と、その家族を守らなくてはならない。ジュダはデニス様を守れと言われただろう?」
こくん、とジュダが頷く。
「そう。…もし何かあれば、私達は自分たちの命と引き換えに守らなくてはならないかもしれない。…けどそれは、最終手段であるべきと思う」
「…さ…い、しゅうしゅだん?」
「例えば、デニス様が転びうになった時、どうする?」
「…たすける?」
「どうやって助ける」
「…じめんにつかないように…おれが…先にころぶ」
…下敷きのことを言っているのだろう、きっと。
「それは立派な行動だね。…けれど、それをやる前に沢山やれることはあるよ。…例えば、デニス様が転びそうになった時に手を取って支えてあげたりとかね」
「…!…やれること…たくさん…?」
ジュダの目が理解を示したようにキラキラと輝く。やはり聡い子だ。
「そう。…そのためには強くなりなさい、ジュダのやりたいことならテオも私も応援するし、手伝うよ」
「頑張りなさい。」とジュダを抱きしめると小さな手と腕が抱きしめ返してくれる。
…息子が可愛い、
テオにも皇帝にも言われる始末だが、顔が緩んでしまうのは仕方がない。
それほど可愛くて仕方がないのだ。
その後、少し興奮気味のジュダを寝かしつけ、寝室へと戻る。
テオは変わらずすやすやと寝ていた。
昔は少し人が動くだけで目覚めて、深夜に起きて部屋に帰っていく人だった。
自分の体のことなんかお構いなしに戦う人だった。
…それなのに、今はこうして自分の隣でぐっすり寝ている。幸せな事だ。
そっと眠る彼にキスを落として、彼を抱いてまた眠りについた。
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