運命とは強く儚くて

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「…ジュダ・キャンベラです…よ…よろしくおねがいします」

朝、朝食の時に挨拶をしてくれたジュダ。
正式にジュダを迎え入れて、改めて挨拶に来たらしい。
緊張した面持ちでぺこりと頭を下げてくるものだから可愛らしくてクッキーの包みを1つ、テオの了承を得て持たせてあげるとこの子なりの嬉しそうな表情になる。

「よろしく、変に気を使わなくても大丈夫だからデニスと仲良くしてあげてね」

「…!はい」

食べ終わったデニスとジュダが早速遊びに行ってしまうと皇帝がニヤリと笑って口を開く。

「カレルの緩んだ顔が見られるとはな」

「…ゆっくりなさっていますが…随分余裕がおありのようですね」

カレルさんをからかったからか、そんなことを言われて少し焦っている皇帝。
陛下とカレルさんは仲良いよな、ななんて思いながら体を温める効果のある飲み物を飲む。
少しクセがあるが、慣れると全部飲めるようになった。

少しでも堕胎効果のあるものは触れたり口にしないよう、事情を知っている一部の者たちは気を使ってくれている。

この飲み物も薬が飲めない代わりのものだ。

適度な運動は必要だが、教会に一緒に行く回数も少し減らすことにした。


「…ジュダも朝の鍛錬にいるみたいだけれど、ついてこれてるの?」

カレルさんのちくちくとした攻撃から話を逸らすべく、テオに話を振るとカレルさんが口を閉じてテオのことを見る。
本人も気になるらしい。

「そうですね…いつの間にか着いて来てしまっていて。走り込みは流石に走ってはいませんが、数週走ったと思ったら急に姿が見えなくなって、高い木の上からこちらを見ていたり、色んなところに気が付けばいるので」

テオが楽しそうだ。

「…剣術や体術は基礎を1人でやらせつつ、手の空いている隊員に相手をしてもらったりしています」

「なるほど…。確かにすばしこいね、身体能力も高いみたいで」

デニスとジュダが遊んでいるとそれがよく分かる。
ジュダはデニスを守る、という教えを忠実に守っているようで、少し離れた所にデニスが走っていこうというものなら即座に駆けつける。
木に物が引っかかればするすると木を登る。
デニスに強請られてテオに教えてもらったであろうたいの型を見せている時は特にすごい。

小柄なジュダが大きく見えるその動きと、キレのある無駄のない動き。
どこかで見たことがあるも思ったら、テオの動きとそっくりなのだ。

「はい。…あの子は育ちのせいもあるのでしょうが、身体能力が高いです。特に見た動きをそのまま再現できるということが大きいでしょう。」

「確かにジュダの動きは、テオの動きそっくりです」

カレルさんが頷きながらも時計を見て「そろそろ執務のお時間です」と皇帝を急かす。

「エディ、行ってくる。…無理はするなよ、何かあれば直ぐに教えてくれ」

名残惜しそうに執務へ向かう陛下を見送った後、テオと共に庭で遊ぶ2人を見に行く。
いつも通り、中庭の東屋で仕事をしているとデニスがジュダの手を引いてこちらにやってくる。

「てお!たいじゅちゅ、やって!」

「俺ですか?…」

「じゅだがておがいちばんじょうずっていった!」

素直に期待を込めてテオを見上げるデニスとソワソワするジュダ。

「僕もみたいな」

迷っているテオにそう付け足すと後から犬を連れて着いてきたアッシアも頷く。

「わかりました。…では少しだけ」

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