79 / 154
テオとカレル
3
しおりを挟む「…引き取ろうか、なんて言ったけどジュダはうちに来ることを喜ぶかな」
「確かにね。…1度きちんと話した方が良いかもしれないし、試しに1日か2日ジュダをうちに呼んで過ごしてみるのもいいかもしれない」
朝の日課である鍛錬を済ませ、カレルと共に朝食を食べながらそんなことを話す。
もしもジュダが望まなかったら。
「大丈夫、良いようになる」
食べ終わったカレルがぽん、と肩を叩いて身支度を整えに席を立った。
基本俺らは早起きなのと反対に皇帝達はゆっくり起きるので時間には余裕がある。
着替えて皇帝達の朝支度を手伝い、エディ様の執務を補佐する。
「デニスと陛下から聞いたよ、ジュダって子と仲がいいんだね」
「ご存知でしたか」
「うん。…あんまり人に関わらない子って聞いてたから気になってはいたんだよ。養子に、とか考えてるの?」
「はい…しかしジュダ自身がどう思うか」
ぱたん、と資料を閉じたエディ様が微笑む。
「大丈夫、テオとカレルさんと一緒にいる時のあの子はとっても幸せそうだよ。…それに、他の子や修道士から聞いたけどちゃんとご飯が食堂で食べれるようになったって。…あと、1人で体術の稽古してたり」
「テオのよくやってるやつ」と言われてジュダが1人で黙々と教えた体術を繰り返す姿が目に浮かぶ。
体術と言っても、1人でできる基礎的な型だ。
ジュダは筋がいい。気配の消し方も段違いに上手いし、身軽だ。
時々見せる、子供らしい笑顔が可愛い。
お菓子をあげると口いっぱいに頬張る。
カレルに文字を教えてもらうと一生懸命鉛筆を握って、夢中で文字を書く。
カレルが教えるために本代わりの簡単な詩を書いた紙切れをずっと持っていた。
何気なく言った約束、ご飯をちゃんと食べるとあうことを律儀に守っていた。
「今朝もカレルと話したのですが、2日程試しに一緒に過ごしてみようかと」
「いいね。…今日も勉強が終わったらデニスは教会に行くから、一緒に行って神父様に話しておいでよ」
「エディ様はその間何かされますか?」
「僕はちょっと寝たくて…ちょっと寝不足なんだ」
はは、と困ったようだが恥ずかしそうなところを見る限り、皇帝が元気なのだろう。
それは寝不足にもなる。
陽者は発情期構わず元気だからなぁ、なんて。
0
お気に入りに追加
377
あなたにおすすめの小説

成り行き番の溺愛生活
アオ
BL
タイトルそのままです
成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です
始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください
オメガバースで独自の設定があるかもです
27歳×16歳のカップルです
この小説の世界では法律上大丈夫です オメガバの世界だからね
それでもよければ読んでくださるとうれしいです
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭

初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載

目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる