運命とは強く儚くて

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Ⅱ -9

3 🔞?

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「っは、さすがに…もう無理だな」

「ぅ……っ、ん…」

三日三晩、体を重ね続けたと言っても過言では無い。いや、三日三晩以上か。

彼が発情してから今夜で5日目。
ピークは3日目でそれに比べて落ち着いたというか、彼が落ちてしまうまでの回数が格段に短くなった。

荒い息を繰り返してぺたんとベッドへ体を預ける彼から自分自身を抜こうと身じろぐと、グイッと足で固定されてしまう。

「だめ…っ…まだ、もちょっと…届くまで」

「わかった」

可愛らしい。
彼を上から抱き込み、しばらく入れたままの状態を保つ。

彼が満足するまで頭を撫でたり、キスしたり覚束無いふやふやした素直な返事が返ってくるのをいい事に普段は彼が恥ずかしがることを聞いたりして楽しんでしまった。

…やはり発情期の隠者は凄いものだ。番となればその威力が大きくなるのは今回ので身に染みた。
空になるまで搾り取られるとはこの事だ。

「まったく…この世で俺にそんな事ができるのはお前だけだな」

「僕だけ…アルは僕の…」

さては寝ぼけているのか。


「そうだ。…俺はお前のものだ」

嬉しそうに笑う彼がそのままぱたりと眠りについてしまう。
侍医は久しぶりの発情期だからそう長くは続かないと言っていた。
目安としては明日の朝には戻り始めるだろう。

眠ってしまった彼からそっと自分自身を引き抜き、ベッドから彼を抱き上げる。
奥に出したからか、さすがに体を起こさせてもあまり垂れてこない。

掃除を頼みに呼び鈴を鳴らしてからバスルームへと向かう。
彼の体と髪を丁寧に洗い、自分も身を清め、体と髪を拭く。

カレルがエディに揃えた髪に馴染ませる花油や肌に塗る美容液等、覚えている記憶を頼りに塗る。

彼の肌艶が良いのはこのおかげなのか。


ベッドが片付いていなければソファで寝ようと思っていたが、やはり仕事が早く、ベッドやその周辺は綺麗に片付けられていた。


ベッドへ寝かせた彼の薄い腹を寝巻きの上から手を当て、そっと唇を押し当てる。

身篭っていれば、彼のこの腹に新たに命が宿っていればどんなにいいか。
けれどせいで彼を失うことになれば…。
男の隠者の出産は過酷なことが多いと聞く、彼はそれを受け止めているのだろうか。

彼は自分より余程強い。

侍医だけでなく、宮廷の医師を増やすべきだろうか。国々から何度も男の隠者から子を取り上げている医師を探すか…。

いや、気が早いとエディに叱られてしまう。

「…けど俺は、お前さえいれば良い」

もちろん、デニスもだ。3人で過ごしていられるのも大切だ。

…もしエディとデニス、どちらも危険にあっていたら…という天秤問題があれば俺はどう答えるのだろう。

どちらかなど選べないかもしれない。

勿論、状況によってはいろいろ変わってくるがどちらも俺が守り抜く。
この皇帝という立場を駆使してでも。


「…失礼致します。…陛下、お食事はお食べになりますか?」

部屋のノックと共にカレルが入ってくる。
テオではないのだろうか。

「エディは眠ってしまったが…俺は軽く何か食べたい。」

「かしこまりました。」

「テオはどうした」

「寝ているので…起こすのも」

先程の掃除はカレルだったのか、と少し納得する。もちろん、テオの手際も悪くは無いがスピードに関してはカレルは尋常じゃない。

「…ここ数日、楽しめたか?」

「…。はい、お陰様で、彼から積極的に誘っていただけました。」

「それは良い事だな。…残りも楽しむといい」

「ありがとうございます」

小さく笑って部屋を出ていったカレルを見送り、エディの頬を撫でる。

今の話をテオが聞いていれば怒るだろうな、なんて。
2人が子供を引き取ろうと考えていることは知っている。本人達は自信があまりないようだがそんなことは無いと思う。
良い親になるだろう、とエディと話していた。

しかしあのカレルとテオに育てられた子。いろいろと強い子になりそうだ。

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