運命とは強く儚くて

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「…子が出来たらなんと名付けようか」

「まだ発情期もしてないのに…気が早いですね」

「妄想くらいいいだろう?」

次の日、エディの体温が高く、本人も目がとろんとしていて少しだるそうだ。
薬は飲まないと本人が言うので凍らせた果物を食べさせたら少し回復した。

ソファに座っていると彼が膝に頭を乗せて寝転がってきたので毛布を掛けてやり、今に至ると言うわけだ。

無論、今回の発情期でエディが必ず身篭るとは限らない。もし何かあれば彼の命を優先させると決めている。
ただこうして未来にある喜びを「もしも」でも話せたら楽しい。

「…ルーシェ…とか」

軽く目を閉じた彼が呟く。

「ルーシェ…光か。…男か?女か?」

「どちらでも。…僕らの光です」

「いいな、気に入った。…ではルーシェが俺達の元に来てくれるよう励むとするか」

「はい。…でも今はこうしてゆっくり陛下と過ごす時間が幸せです。」

彼が笑うと花が咲き誇るように香りが俺をいっぱいにする。
発情が近いからか、この部屋の空気すら甘く感じる。

「っ…そうだな、俺も幸せだ。」

屈んで彼に口付けるとより一層匂いが濃くなる。手を出してしまう前に顔をあげようとすると彼の腕がそれを引き止める。
彼からキスを深くすることは滅多にない。こちらとしては嬉しいの他になんでもないのだが。

「エディ?」

「ッ、陛下…ごめんなさ…ぃ」

ようやく離してくれた彼の息は荒く、目は潤み無防備に半開きにされた口からは熱い舌が覗いている。
そして何よりこの香り。
…まさか、こんな急に発情するのか。今すぐ彼に覆いかぶさりたくなるのを抑え彼の身を抱き起こす。

「発情に入ったか?」

「そう…かも…、キスしたら…っもっと…って」

理性をグサグサと崩されていく。
するりと彼の髪を退け、彼の項を撫でる。

「…先に噛んでも良いか?…直ぐにお前を俺のものにしたくて仕方がない」

「噛んでください…っ、はやく。陛下を僕のものにしてください」

陛下のものにしてくれ、と本能で言わないところが彼の愛すべきところだ。気の弱そうな彼だが実際そんなことはない。

項に舌を這わせ、目星を付けると一気に歯を突き立てる。
噛んだところから彼が自分の物になったと実感する。初めての感覚だが、妙にしっくりくるようなこうであるべきのような。

ゆっくり口を離すと、くっきりと残った赤い歯型が目に入る。

「やっと…お前と身も心も結ばれた。…どれほど持ったことか」

はふはふと熱い息を繰り返す彼の乱れ具合と香りに 誘われつつもう一度彼に口付ける。
愛しい、愛しい俺の番。

キスをしながら彼をソファに横たえ、彼の衣服の紐を解く。ベットに移動することも考えたがもうここで良いだろう。

日が高いうちからこんなことをするなんていつものエディなら考えない。

彼とは初めての発情だが優しくしてやれるだろうか。そんなことを思いながら焼き着れそうな理性で彼の服に手を入れた
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