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テオとカレル
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しおりを挟む「おまたせ」
「…荷物はそれだけ?」
「カレルが多すぎるんだよ」
建物自体に入ったことはあるが、部屋に入るのは初めてだ。
エディ様はまだ発情期が始まっていないが、体調を見てそろそろというので大事をとって皇帝と共に部屋に入ったらしい。
あとは怪しい者が入ったこないようにその都度様子を見るのと、食事や希望のものの差し入れ。
実質休暇だ。
1週間程度だが洗濯はするし、何かもって行きたい物もそれほどなかったので随分身軽で入ることになった。
先に入っていたカレルは大荷物で、書物やら仕事やらなんやら持ち込んでいた。
荷解きを終え、彼の元に行って話をもちかける。
「…あのさ、子供の事なんだけど」
「…やっぱり反対?」
ソファで本を読んでいた彼が本を閉じて顔を上げる。
「反対じゃない。…ただ少し不安になっただけ」
「不安?どんな?」
「今は護衛とか世話係とはいっても…こういう仕事だから何があるか分からない。…自分のせいで子供に何かあればって」
「なるほど。…私はもちろん君を失いたくないし、けど君縛ることもない。子供もきっとそう思うだろうね。…もちろん何も無くて、そばに居ることがベストだけれど、もし何かあっても生きていけるように育てたいし、ずっと心に残るくらい愛してあげたい」
諭すような彼の落ち着いた声色に考えに落ち着きが出る。
任務は最優先かもしれない、けれど自分の命の優先度が守るものが増えることによってまた一つ上がるだけだ。
「…今度出かけた時は…孤児院を回ろうか」
「そうだね。…さて、今日は何しようかな。カレルは何するの?」
「とりあえず持ってきた書類整理と、仕事かな」
「急ぎ?」
「いや…でもやっておきたい」
やっぱり仕事優先だよね。
…でも今は時間はたっぷりある。それなのに、と考えるとこちらにも考えがある。
「テオは何する?」
「…カレルのそばにいようかな。邪魔って言われたって、急ぎじゃないなら邪魔するよ」
「それは怖い。…そうだな、急ぎではないから…私もテオと過ごそう」
俺の勝ち。
この一週間は特別。
「読んでる本があってね、分からない所があるんだ」
「どれ?…私の知っているものだろうか」
「カレルの本棚から持ってったんだから知ってるよ。…これの第三章…のどこだったかな」
「それもそうだね。…あぁ、その本はややこしいな」
彼と二人、ひとつの本を覗き込んで、真面目に話をしたり笑いあったり。
この一週間は幸せに過ごせそうだと思った。
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