運命とは強く儚くて

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テオとカレル

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「テオ、相談が3つ」

「何?」

夜、ベッドに入るとカレルが話を切り出した。
かなり真面目な話なのだろうか。

「…皇帝達が籠る間、俺も4日程休み、残りの3日も半日休みをもらった。」

「良いね…俺も1週間、食事運ぶ以外は休みだよ」

「私達も同じ離れで籠ることになった」

思わず飲んでいた水を噴き出しそうになる。
多分護衛とかそういうのに手っ取り早いから、だけれど…皇帝とエディ様が気を使ってくれたのだろうか。

「…嬉しくないか」

「嬉しいよ。…嬉しくないように見える?」

もちろん、彼と一緒にいられるのは嬉しい。普段はこうして寝ることしかできないから。
喜びが見えにくいのは実感がないのと、癖だ。だから行動で示さないと。

彼に身を寄せると肩を抱かれ口付けられる。

正直、彼だって顔にはあまり感情を出さない。

「私も嬉しいよ。しっかり堪能するとしよう」

「お互い様だね。…2つ目の相談は?」

「子供を引き取ろうかと思っていて」

彼の言葉に思わず「え」と拍子抜けした言葉が出る。
もちろん、俺が産むことは困難だ。挑戦は賭けになるし、それに時間を注げる程お互い暇じゃない。
それにもし身篭っても、俺はじっとしていられないし妊婦の体じゃ護衛の仕事はできない。

「…なんで突然?」

とりあえず彼の言い分を聞こうと首を傾げる。

「後継問題だな。…私以外は女しかいないから…まあキャンベル家跡取りだ。隠居の大爺様の養子として引き取って、私が育てるという考えでも…」

「なんで?…俺らの養子にすればいいじゃないか」

そこまでして引き取って実は俺らの子じゃないですーなんて子にとったら複雑だ。
なら初めから…俺らの子に…。

「…君はいいのか?」

「うん。…上手くできるなんて、自信はないけどね。…自分の持ってるものを伝えられるなんて俺は素敵だと思うし憧れるよ」

「君の教えか、手厳しそうだな」

「あんただって人のこと言えないくせに」

2人顔を見合わせて笑う。

「ま、時間はあるでしょ?…何せ1週間は一緒なんだから」

「そうだな。…で、3つなんだけど」

「最後はなに、城でも立てるの?」

「私だけの一存ではないが…。この帝国や属国の孤児から10数名人程度集めて将来的に隊を作ろうと思う」

「隊?…少年部隊ってこと?」

「戦うだけじゃない。…知識や教養、文武に優れた人物を育て、これからの国づくりに生かす。…将来的に孤児だけじゃなく、志願者からも…小規模な寄宿学校のようなものだな」

「…いいとは思うけど…。俺にどうしろと」

「行く行くは…私が中心となって立ち上げる。…その時は手伝ってほしい」

いつにも増して真剣な表情でこちらを見る彼の頬をそっと包み込み、頭を抱き寄せる。
彼が立案し実行するものだ、今まででも1番大変だろうし、彼自身不安なのだろう。

「当たり前、あんたがすることは俺も一緒だよ。…できることならやってあげる」

「…ありがとう」

甘えるように腕を回してきたカレルの頭をそのまま抱きしめ、撫でる。
冷徹な側近様がこんなことするのは俺だけだ、なんて優越感か。

疲れていたのだろう、いつの間にか寝てしまっている。
まあ、心配しなくとも少しすればしばらく一緒にいられる。

「…おやすみ」

額に口付け、今度は彼の腕に潜り込むと目を閉じた。
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