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Ⅱ -7
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しおりを挟む「結局離れに行かれるんですか?」
「そう。デニスもいるから、皇帝と2人で離れに行くよ」
「…では脱ぎ着しやすい衣装にしますか」
翌日、テオとそんなことを話しながら荷造りをする。荷造りとは言っても、離れは敷地内なので必要なものはその都度届けてくれるから心配は無いのだが持って行けるものは予め持っていった方がいい。
多少、体のだるさはあるものの、処方してもらった薬のおかげで楽だ。
「おかあさま」
「デニス、どうしたの?」
「なんでおとうさまとおかあさま…おでかけのよういするの?」
「そうだな…」
ベッドに登って本を読んでいたデニスが不思議そうに首を傾げる。
困った。こんな幼い子に何をどう説明すれば良いのだろう。
「デニスが大人になったら分かるぞ」
「おとうさま!」
皇帝がデニスを抱き上げくすぐるとデニスが歓声をあげる。
「もしかしたら…弟か妹が来るかもしれんが」
「ほんと?!」
「それは神に祈るしかないな」
「ぼくね、きょうかいでよくおいのりするんだよ」
「では次は父も連れて行ってくれるか」
「うん!おうまにのせてってね」
「もちろん。…ほら、そろそろアッシアと勉強だろう。行ってきなさい」
「はーい」と元気に皇帝にキスをして降りるとすかさずこちらの頬にもキスをしてくれたデニスを抱きしめる。
「御二方、俺も少し外します」
「うん」
デニスとテオを見送り、衣類を詰めた箱を閉じると後ろから抱きしめられる。
「…では、2人きりだな」
「そうですね。…離れはどのような所なのですか?」
「そうだな…ほら、見てみろ」
体を支えられ、皇帝の指す場所を窓から見る。王宮から伸びた渡り廊下の先の小さな建物。
「あれだ。…使用人達の離れは別のところでもう少し大きい。だが部屋の構造は…まあそれほど変わらんな」
「でも…人が出入りしてます」
よく見ると何人か出入りしているようだ。
「しばらく使っていなかったからな、俺たちの為に支度をしている」
「なるほど…。その…篭もり中の食事とか何か用のある時はどうするんですか」
「テオに頼もうと思う。…俺もその間は政務所ではないからな、カレルも良いと思うだろう」
「その事なんですけど…一つお願いをしても良いでしょうか」
「なんでも言ってみろ」
「テオとカレルさんに…2人でもっと過ごして欲しいと思いまして。お節介かもしれません、2人はそう決めたのであれば」
「確かにな。…では2人に同じく離れで過ごして貰おうか。」
「で、でも」
「案ずるな、壁は厚いから声は聞こえない。2人で護衛という形でいてもらおうか」
「…良いと言うでしょうか」
「言うさ。…テオはともかく、カレルは案外そういう機会を狙っていたりするからな」
くく、と面白そうに肩を揺らす皇帝の胸の中で自分も笑ってしまった。
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