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Ⅱ -6
カレル目線
しおりを挟む「カレル…どういうこと」
「…エディさんのことだろう。座って、話すから」
夜、自室の書斎で仕事をしていると難しい顔をしたテオがやってくる。
普段から表情が外に出ている訳では無いが、彼は何か考えていると眉間に皺がよる。
そして彼がなぜ今ここにいるのかも分かる。
きっかけは今日の午後のこと。
「陛下、先生がお見えです。エディ様に関してだそうです」
「通せ」
陛下の執務中、侍医がエディさんの診察を終えて報告へやってきた。
内容は喜ばしく、エディさんの体の回復と発情期の再来予定に陛下もとても喜んでいた。
が、その後に言われた言葉で皇帝の表情は変わった。
「…エディ様は…ご自身ではお気づきにはなられていないかもしれませんが、身体自体が繊細になっています。…久しぶり、かつもしかしたら不完全の状態で身篭られた場合…どうなるかは分かりません。
無論、無事に事を終える確率の方が高いでしょう。…ですが同時に危険な可用性も伴うことも頭の片隅にお置き下さい。」
つまりは、エディさんが無事に発情期を終えて身篭ったり皇帝と番になることも叶う確率は高い。
が、その反面、体になんらかの不調が起きて危険を伴う。つまりは最悪死ぬこともあるということだ。
侍医が帰った後も、皇帝は悩んでいた。
彼は少しでもエディさんを失う確率が怖いのだろう。
無理もない、一度エディさんを失いかけているのだから。
…気持ちは痛いほどにわかるが、自分は決定に口出しすべきでない。
「そんなことがあったのか…」
「そうだ。…エディさんに陛下は何か言ったのか?」
「別々に、離れで過ごせって。…でも理由も無しにそんなことを言ったんじゃ…エディ様、傷付いてたよ。きっと飽きられたとかそっち方面で考えてる」
「それはまずい…今はどうしている」
「今はエディ様1人。…陛下は別のとこで寝るみたいだよ」
「…ますますまずいな」
「エディ様、皇帝が愛人でも作ったんじゃないかって思ってるよ、きっと。」
「…。ちょっと行ってくる」
「頼むよ」
これは皇帝に話さなければ。
立ち上がり、テオとすれ違い際にキスをし軽く抱きしめる。
癒された。
それにしても今の状況はダメだろう、バカ陛下。
大切にするあまり、恐れて持て余すのはわかるが相手にとってそれはなんの意味もないのだ。
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