運命とは強く儚くて

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Ⅱ -6

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「…おや」

「何か…?」


いつも通り、定期検診をしていると侍医が不思議そうに眉をひそめた。
2週間程熱やふわふわとした倦怠感が続いている。

「気になることがありますので触診をしてもよろしいでしょうか」

「…構いません」

何か異常でもあったのだろうか。隣に立っているテオと顔を見合わせながら不安になる。

しばらく触診を受け、結果を聞くことになった。

「…何か悪かったですか?」

「いえ、その逆ですよ。…現在、このような体調が続くのは発情期の前触れでしょう。発情が訪れる体に戻っておられます。…久しぶりなのでこうして体調の調節が崩れているだけで1週間後には発情期が来ると思います。」

「そうですか…!ありがとうございます」

「抑制剤は様子を見て弱いものをご用意致します。何か気になるところがありましたらすぐにお教えくださいませ」

その日は弱い抑制剤を貰い、侍医は陛下に報告へ向かった。
また発情期が来る。

少しわくわくしているのと、負担が混ざっている。何せ久しぶりで、王宮に来てからはなんやかんや初めてとなる。
皇帝とは番になるのだろうか。

そんなことを悶々と過ごしながら部屋ですごした。




「エディ、眠っているか」

「いえ、起きてます」

夕方、執務を終えた皇帝がいつものように部屋を訪ねてくる。

「侍医に聞いた。…良かったな、俺も嬉しい。…だが今回の発情は…離れを用意させるか…?」

「…どういうことでしょうか」

「…お前と俺は別々で過ごすという風に考えている」

陛下の言葉に思わず頭が真っ白になる。

「そうですか…分かりました」

「…食事は食べたか?」

「少し…」

「そうか。…冷たいものを持ってきてやろう」

ぎくしゃくした様子で陛下が部屋を出ていく。
何故だろう。

しばらく陛下の相手をしていない。
自分は体調の関係だったが、彼はこの国の皇帝で健康体の陽者だ。

飽きられてしまったのか?

一皇帝が后の他に側室を持つことは珍しくない。そちらの方に行かれても…。
でも側室は作らないと言っていた。

…それでもあの人は皇帝だ。


「…エディ様、大丈夫ですか」

「テオ…離れに行く用意をしないとね」

何か言いたげなテオを遮るように微笑む。
涙がこぼれて慌てて拭うと、落ち着くまでテオが優しく背中を撫でてくれた。


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