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Ⅱ -4
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しおりを挟む体がだるくてしんどい。
体も心做しか熱く、熱でもあるのだろうか。
「…エディ様、どうされましたか?」
来賓の接待を終え、廊下を歩いていると耐えきれなくなり壁にもたれてしゃがみこんでしまう。
慌てたテオが背中をさすってくれて、「とりあえず部屋に」と軽々運んでくれる。
帯や服の紐を緩めてベッドへ寝かせてもらうと、テオが侍医を呼びに行ってしまった。
お腹ら辺が痛いような、熱いようなそんな気がする。
変なものでも食べたのだろうか。いや、そんなことはない。
「エディ様、如何されました」
「…体が怠くて…熱っぽいです。…お腹?も熱いというか痛いような…そんな気も」
「なるほど…」
ふむ、と白髭を撫でながら考え、診察を進める侍医。先代の頃からここに使えているらしい。
ということは皇帝の幼い時も知っているのだろうか。
「…今日はもうお薬をお飲みになられましたか?」
「いえ、いつももう少し後に飲んでいます」
「では今飲みましょう。」
和やかに微笑み、テオに薬湯を持ってくるよう伝えると普段の様子や世間話などを振ってくる。
横になったからか、少し体が楽だ。
「このお薬も一緒にお飲みください」
やはり苦いいつもの薬湯がやってくると、小さな薬包を手渡される。
また苦いのだろうかと身構えて飲み込むとそうでもなかった。が、薬湯は不味かった。
「エディ…!大丈夫か」
ちびちびと薬湯を口にしていると皇帝が慌てた様子で部屋に入ってくる。
「陛下…ご執務は」
「倒れかけたと聞いた、執務ところでは無いだろう」
傍らに腰掛けて心配そうに撫でてくる彼の手のひらに安心する。
「薬も飲んで休んだので少し良くなりました。…来てくれて嬉しいです」
忙しいのにわざわざ来てくれたことが嬉しくてお礼を言うと侍医が「皇帝もいらしたことですので、お話よろしいでしょうか」と声をかけてくる。
「頼む」と皇帝が座り直したので自分も居住まいを正す。
「前例があまりに少ないため、確実には言えないのですがもしかすると、近々エディ様には発情期が訪れるかもしれません。
体が熱っぽいのは修復した機能に体が順応しようとしているからでしょう。しばらく様子を見て、余分なお薬は控えた方がよろしいかと」
「それは抑制剤もか?」
「はい。本来抑制剤は生理現象であるフェロモンなどを抑える薬、少しでもリスクを減らすために控えることをお願い致します。」
新たに増えた薬、とはいっても栄養剤に近いのかもしれないが、その説明や短い間隔での定期診断をすることなどを説明して侍医は部屋を出ていった。
気を使ってくれたのかテオも下がって皇帝と二人になる。
「…もし侍医の言ったことが本当ならまた発情期が来るんですね」
「そうだ。…嫌か?」
「いえ…今までは発情期が厄介で仕方あひませんでひたけれど、発情期が来れば…」
皇帝と番になれる。皇帝との子を宿すことが出来る。
そう口にしようとして口を噤む。
皇帝には愛されている。自分もこれ以上ないほどに愛している。
だが自信が無い。体調が悪いからだろうか、ネガティブになってしまう。
「俺は嬉しい。…お前と番になりたい、お前さえ良ければお前との子供だって欲しい。…知ってたか?デニスは弟妹が欲しいそうだ」
すり、と額を擦り合わせる彼に思わず笑みが漏れる。
「…だがもしもの時に備えて薬を飲むことが出来ないときた。王宮には陽者が多い、心配だ。…もし少しでも何か異変があればすぐに言うんだぞ。しばらく外に出る執務も控えよう、今以上にテオを傍に置くことだ」
真面目にそう話す彼。
確かに大事だが、本当に心配症だ。
「大丈夫ですよ、これでも隠者で下働きで生き抜いてきたんですから」
「けど心配だ。…もうお前を離すことはしない。」
強く抱きしめてそう呟く陛下。
酷く切なく、陛下が幼く見える。「大丈夫ですよ」と背中を撫でて抱きしめ返すと少し安心しただろうか。
優しく微笑んでいた
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