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Ⅱ -3
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しおりを挟む「おぁよ…」
「デニス、おはよう」
朝、皇帝と二人で朝食を取っていると少し遅めにデニスが起きてくる。
眠そうに何やら本を抱えて席に着くデニスを不思議に思う。お気に入りの本なのだろうか。
「デニス、それはなんだ?」
「こぇ、読めうになった」
まだ朝だからかいつも以上に呂律が回っていないのが愛おしい。
皇帝とデニスのやり取りを見つつ、デニスが持っていた本のタイトルを見る。
「…これ、孤児院の?」
「かぃてきたの」
「はい、デニス様が読めるようになりたいと仰られたので…許可を頂いてお借りしてきました」
この本には見覚えがある。
ただこれは、6歳程の子供用に書かれた本でデニスはまだ3歳になったばかりだ。
「読めるようになったの?」
「うん!」
目が覚めたのか元気に朝食を頬張りながら頷くデニスを皇帝が頭を撫でて褒める。
デニスは勉強が好きなのか、いや、まだ本を読む時点ではなんとも言えない。
ただ好奇心旺盛なのは確かだ。
「ごちそうさま!」
「デニス、お父様とエディはアッシアとお話があるから先に戻っててくれるか」
「はーい」
にこやかに返事をし、部屋へ戻っていった。話とはなんだろう、と皇帝を伺う。
「アッシア、デニスの今の状況報告を頼む」
「はい。…デニス様は飲み込みが早いです。ご興味があるから、といえばそれも手伝っているかもしれません。ですがとても優秀な方です」
「そうか…引き続き、デニスの勉学を見てやってくれ。」
「かしこまりました」
アッシアが下がり、皇帝と2人で食後のお茶を飲んでいると皇帝が口を開く。
「喜ばしいな」
「そうですね。…得意なことがあるのはとても良い事です。伸ばしてやりたいも思います」
デニスはきっと陽者ではない。
隠者の次に珍しい陽者は大体は血筋や親の性による。
姉さんも義兄さんも陽者じゃないし、隠者でもない。
たとえ陽者ではなかったとしても、才能のある学者達は沢山いる。過去の皇帝で陽者でなくとも偉業を成し遂げた者もいる。
デニスは次期皇帝になるのか。それとも他の道を志すのだろうか。
デニスと孤児院へ行き、遊んでいる子供たちを見ている合間もそんなことを考えていた。
デニスを実の息子のように思っている。だからといって、自分が国母になろうとも思わない。
ただ幸せになって欲しいと思う。
のびのびと、あの子が望むのなら皇帝になればいい。望まないのなら好きなことをさせてやりたい。
そんなことを考えながら元気に走り回るデニス達を見守った。
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