運命とは強く儚くて

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Ⅱ -3

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「えでぃ!おとうしゃま!」

「デニス、ただいま!」

国に帰ってきた。
船からおりると港まで迎えに来てくれたデニスが駆け寄ってくる。
抱っこをせがむデニスを皇帝が抱き上げる。助かった。
抱っこしたいのは山々だが、長旅で疲れているのもあり、大きくなったデニスを抱き上げるのは力がいる。
またゆっくり抱っこしよう。

「良い子にしていたか?」

「うん!おとうしゃま、あとでみてほしいのがあるの」

「それは楽しみだ、エディと一緒に後でゆっくり見せてくれ」

楽しそうな皇帝とデニスを微笑ましく見守る中、そばにいたアッシアに声をかける。

「お留守番ご苦労さま、アッシアにもお土産あるからね。またデニスの事教えて?」

「エディ様、ありがとうございます。はい、是非!」

「アッシア、また背伸びたんじゃない?」

確かにまだまだ伸びる年頃だ。
この年頃だと王宮関係の者は第2性の検査を受けるのだがアッシアはもう受けたのだろうか。

「エディ、そろそろ行こう。馬車が待っている」

「はい、すぐ行きます」

ちらりと少し離れた横を見るとカレルさんとテオが話していた。
あまり変わりないように見えるが、どことなく二人とも嬉しそうだ。

馬車で王宮へ帰るととても安心して、帰ってきた!という感情が溢れる。
皇帝とデニスでお土産などの荷解きをしながら3人でいる幸せを噛み締めた。

デニスは元気だが、やはり少し寂しかったのだろうか。隙あらば膝に乗ってきたりとベッタリだ。
まだまだ子供なんだな、と愛らしいと思うと同時に1人にさせてごめんね、と申し訳なくも思う。

「キラキラ!」

「気に入ったか?それは大事だからな、大切にしまっておくんだぞ」

「はーい」

デニス皇子へ、とアリ国王からの贈り物。
ユーテリア王国でしか取れない宝石や、真珠などがあしらわれた綺麗な頭飾りだ。
綺麗な砂や貝殻を見せるととても喜んで、自分も意味で遊びたいと笑い、絵本で海のことを知ったとたくさんお話をしてくれる。

アッシアにも面白そうな書物やお菓子などをあげると喜んでくれた。
お菓子は半分、家に送るというのでもう一箱あげると年相応の笑顔を見せてくれた。

従者として働いていた時の使用人仲間にもお菓子を配りにいったり、あっという間に夕方になってしまった。

軽い執務を終えた皇帝と、デニスと庭園を散歩する。
はしゃいで疲れたのかデニスがウトウトし始めたので皇帝が抱き上げる。
2人は全く血は繋がって居ないけれど、本当の親子のようだ。

「…我が家だな」

「はい。…旅行も楽しかったですけど、やっと帰って来たな、と思います」

「まあ、俺はお前がいればどこだっていい」

「それは僕も同じですよ」

ふふ、と懐かしい柔らかい夕焼けを見てそう笑った。
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