運命とは強く儚くて

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Ⅱ -2 新婚旅行 -3

-3 テオ目線

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「始め!」

ピリリとした決闘の空気が一気に切れて大男の拳が迫ってくる。
真っ当に力勝負は無理だ。

肩の力を抜いてふっと体を沈め拳を避けると、拳を突き出して男の重心がぶれた所へ軽く、だが重みのある蹴りを入れる。

肉厚な体。
ぐにゃんと足が肉に沈む感覚を覚えながらすぐに体制を立て直す。

よろけた男もすぐに体制を立て直したようでもう一度睨み合う。
この感覚、懐かしい。命のやり取りのような緊張感はないが、ふつふつと湧き上がるお互いの闘志に興奮する。

カレルが見たらなんて言うだろう。
心配するだろうけど自分の実力を一番わかってるのは彼だ。
まあ、今回のはないしょにしよう。

何回か男の攻撃を受け流し、スレスレで避けてみせる。余興だ。
盛り上がって来たところで、あまり皇帝達を放っておくわけにも行かない。

そろそろ、と人の急所を軽く打ち背後に回る。
気絶させるのもどうかと思い、よく子供のやるように男の膝に自分の膝を入れ込む。
カクッと膝を着いて転げた男。

ワッと歓声が上がる中、2人の様子を確認する。
無事なようだ。

あまり目立つのも良くないかと男の様子を確認し、一礼して壇上から降り、2人の元へ戻る。

「テオ凄いね!…さすがでびっくり…」

興奮気味のエディ様のヴェールを直しながら「ありがとうございます」と礼を言う。
純粋に嬉しい。

「申し訳御座いません、放っておいてしまって。…次はどこへ参りましょうか」

「良い。いいものを見せてもらった、流石だな。…お前、景品を貰ってこなくていいのか」

皇帝にそう言われて振り返ると店主のような男がこちらへ向かってくる。

「おおい、兄ちゃん。いやぁ、さっきのは見事だったよ、ほら景品を選びに来てくれ」

行ってこい、とコンタクトをくれた二人に会釈しながら店主に露店へ引きずられる。
露店には細々とした小物や大きな景品まで様々だ。

「なんでも好きなもんを持ってってくれ」

「そうだな…」

特に欲しいものもない、と思いながら軽く物色していると大きなぬいぐるみを見つける。
謎の動物だが、両手で抱える程の大きさが気に入った。

「これを貰うよ」

「へいまいど。…兄ちゃん、また来てくれよ」

店主に礼を言い、彼らの元に戻る。
カレルは意外に可愛らしいものが好きだ。お土産にしよう。

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