運命とは強く儚くて

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Ⅱ -2 新婚旅行 -3

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「お忍びで市場??」

「そうだ。…ダメか?」

「…いいですけど、危なくないですか?」

「テオがこれば良い。…テオ、良いか?」

「はい、お守り致します」

 そんなかんやで陛下が何故かお忍びで街の市場に行きたがるのでこっそり行くことになった。
陛下と初めて会ったのも王宮の外だし、陛下は好奇心旺盛だ。

テオに持ってきてもらったこの国の平民服を着てヴェールを羽織り、王宮の外に出る。
改めて、自分はやはりこっちの服装の方が楽だと思う。

「俺は後ろからついて行きますのでお2人で楽しんでください。」

「あぁ、ありがとう」

暑い国だとヴェールを被っている人は珍しくないから顔をかくせて良い。
自分は元々平民だったし問題は無いが、陛下は服装が質素でも威厳というか、風格が滲み出てしまう。
流石は陽者であり根っからの王族。

賑わう市場を歩きながら、露店の商品を見て回る。

「そこの異国のお兄さん!土産におひとつどうだ?…二人ともべっぴんさんだから負けとくよ」

「練り菓子ですね…アル、どうしますか?」

「いいな、デニスに買っていこう」

言葉遣いでバレてはいけないと小声で話す彼に代わって店主と話し、お金を支払う。

他にも屋台で買い食いをしたり、デニスや子供達にとお菓子や脱ぎ履きしやすい靴等を買った。

「エディ、あれはなんだ」

陛下に袖を引かれ、見てみると何やら広場が騒がしい。行ってみるとどうやら力比べをするらしい。
台上にいる大男に勝てば景品が貰えるらしい。

「…出てみてもいいですか?」

「っ?テオ…大丈夫なの?」

後ろから声をかけてきたのはテオ。
確かにテオは国の精鋭隊所属とは聞いていたけれど…さすがにあの大男に勝てるのだろうか。

確かにテオは隠者にしては背も高いし、筋肉もある。けれど鍛えられた大の大人には到底敵わない。
心配していると皇帝が「いいんじゃないか、怪我はするな。俺がカレルに怒られる。」

「はい。…エディ様、大丈夫ですよ。」

心做しか楽しそうに人をかき分けて行ったテオ。
大丈夫だろうか…、

「さあさあお次は誰だい?!この大男に勝負を挑むのは!」

司会役の男が叫ぶ中、手を上げて台へ上がったのはいつもよりイキイキとしたテオ。

「おおっと!現れたのは美人の兄ちゃん、大丈夫かい?」

「問題ない、自己責任だからね」

ぱさ、とヴェールと上着を脱ぎ捨てて上裸になったテオの体に周りが息を飲む。
体に着いたいくつもの傷跡、均等に鍛えられた筋肉。少し意外な容貌に驚く。

「はじめ!」

司会の合図と共に、ハッと引き戻され、男が拳をあげても微動だにしないテオをハラハラと見守った。
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