運命とは強く儚くて

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番外編 テオとカレル

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「さて…そろそろ帰るか」

「そうだね、明日からまた早い。」

2日目。
小屋の荷物をまとめ、燻製やら皮を丁寧に詰め込み森を散歩した。
気がつけば夕方で、特にこれとしたことはしていないのにカレルといると時間があっという間にすぎていく。

王宮へゆっくり馬を進めながらふと彼が口を開く。

「…エディ様の近侍…楽しいか?…あの人はいい人だけれど親衛隊のほうが良かったとか、ないか?」

「どうしたんだよ、急に」

真面目な声色な彼の表情は見えない。
はは、と笑いながらそうだなぁ、と考えてみる。

「…親衛隊にいた時はとっても楽しかった。隠者って最初は距離置かれてたけど自分の力が認められて皆と打ち解けたのは嬉しかった。…確かにエディ様の近侍は物足りなくもある。けどデニス様や孤児達、たくさんの人と会えて…楽しいと思ってるよ」

「…そうか」

ふ、と笑ったような安心したような声色に自分も微笑む。

「…私もエディ様の近侍で良かったと思うことがある。…皇帝がエディ様に会いに行く度に君の顔が見れるからな」

「それって毎日だね、皇帝はほんとよく来るよ。エディ様少し呆れてる…けど幸せそうだよ」

「だろうな。…お前は嬉しくないか」

「…嬉しいよ。話せなくても、見れるだけで俺は嬉しい。…でも定期的に体は動かしたいな、訛っちゃう」

「…精鋭隊の仕事、簡単な単発任務なら回せるかもしれない。…手配してみるか?」

「ほんと?…嬉しいけど、みんなに迷惑そうなら絶対やめろよ」

迷惑はかけたくない、と念を押す。
足は引っ張りたくない。というより、精鋭隊である以上、足を引っ張ることなど許されない。
それが精鋭隊だ。

「ほら、俺らの王宮が見えた」

丘を超えると遠目に夕日に照らされる美しい王宮が目に入る。

「帰ろうか」

この2日間はとても楽しかった。
けれど王宮を見た途端にほっとしてしまう。それはきっと彼と2人で過ごせる大切な場所だからか、自分の大切なものがある場所だからかは分からなかった。

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