運命とは強く儚くて

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Ⅱ -2 新婚旅行

-2

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「船は初めてか」

「川で…小さいのには乗ったことがあるんですけどこんなに大きいのは初めてです」

帝国の岬まで馬車で移動し、船に乗り換えた。そうなるともう夜もふける。
流石は皇帝が乗る船、といった所だろうか。まるで城が海に浮いているのではないかと思った程だ。
部屋の甲板で初めて見る海を眺めていると皇帝が隣に来て肩を抱く。

船の上では身軽な、風通しの良い服を着させてもらいとても居心地が良い。
軽いからか、簡素だからか下働き時代の服に似ている為、安心感がある。

「この服とても好きです。…仕事着に似ているので毎日これでいいくらい」

「それは困るな。…なかなか魅力的だが…日中は目のやり場に困る。」

ははは、と笑いながら大きく開いた背中に手を入れくすぐる皇帝の腕の中で思わず笑う。

「陛下だって同じじゃないですか、ちょ、くすぐったいです」

ひとしきり2人で笑い、息をついて静かに海を眺める。

「デニスには悪いが…2人きりは久しぶりだからな、楽しませてもらう」

「そうですね…なんやなんや完璧に2人だけというのは初めてですから」

「あぁ。…だがデニスも1人部屋だ、夜は2人だな」

くす、と悪戯げな笑みを浮かべて囁く彼に思わず赤くなってしまう。
いやらしい方のことを考えているのは自分だけだろうか。

「陛下、后様、お体が冷えます。中へどうぞ」

「あぁ。…行こう」

「はい」

ゆっくり手を搦め、部屋へと戻る。
少し異国風の部屋はベッドが変わっていて、四角い寝台というより、巨大なクッションが集められて出来ている、という不規則な形のベッドだ。

「…疲れているか?」

「いえ、楽しみでとても疲れません」

そう答えたところでハッとする。
もしかしたら夜の誘いだろうか。最近デニスが部屋に来たり仕事やら眠いやらでなかなかご無沙汰だった。
どうしよう、まともに顔が見れない。

「…赤いぞ」

「そ、それは…」

「愛いやつ」

頬を撫でられ口付けられるとゆっくりと皇帝の胸へ引き込まれる。
抱かれながらキスを深め、徐々に服がはだけていく。

「っ…ふ…」

「甘いな…」

口から零れた唾液を舐めた皇帝がベッドに横たえた自分の胸に顔を埋める。
コリコリと軽く引っ掻くような愛撫に、もどかしくも胸が締め付けられるような快感に声を漏らす。

普段の部屋とは違い、旅先なので護衛が多い。
声がもしバレたら…と思い慌てて口を塞ぐ。

「どうした?」

「その…声が聞こえるので。護衛も多いですし」

「それは困る…お前の声は俺だけのものだ」

ぐりぐりと頭を押し付けて甘える彼の頭を撫でて微笑み提案する。

「今夜はお互いの…だけ処理して終わりましょう」

特に皇帝のそれ。
…まじまじ見つめるとやはり凄い。
初めは不満げであったものの、なかなか乗り気の皇帝だった。
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