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そにょ3
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「ふわぁ~~すごいわね~」
門をくぐった私達は、やっぱ遠くで見てるよりお城ってデカイわね~と話をした。
数百人、いや、1000人2000人とかいるのかな。どこ向いても人、人、人。
まあ大体の人は食べ放題目当てだと思うけど、女の子はお洒落してる子が多いよね。
かくいう私もよそ行きの青いフレアのワンピースですけどね。
マリアもピンクのレースが沢山ついてるワンピース。なんて可愛いのかしら。これがお人形のような可愛さってもんなのね。
カタリナかあさんもライトグレイのツーピースで、父さんのダークグレーのスーツとペアみたい。美男美女だから目立つわね。
まだ庭園とか見て回りたいマリアと両親と別れて、私は早速食べ物に向かいますよ~と。
後で合流することになってるし、はぐれても帰り道は分かるし問題ないでしょ。
大広間もまたえらい人。バイキング形式で沢山の料理が出てて、お腹がちょっと鳴ってしまった。
とりあえずご飯食べてからスイーツの方に行こうっと。
お皿を取り、ローストチキンやハンバーグ、蒸した野菜にとろりとしたソースがかかってるものなど、目についたものをせっせと載せた。
空いていたテーブルに座り、頂きます。
「美味しい~!」
レディのたしなみとか忘れて思わずがつがつ食べてしまいました。父さんかあさんすみません。
お代わりまでしてお腹は一杯だけど、スイーツは別腹だからね。
スイーツのコーナーに寄って小さめのケーキやシュークリーム、チョコレートなんかをちょいちょい皿に取って、さて戻ろうとしたらさっきの私の席は他の人が座ってた。
「まぁいっか。庭園で食べるのもOKよね」
少し人に酔いそうになってたので、これ幸いと皿を持って外に出た。
人が居ないとこを探しながらうろうろして、狭い道を抜けると木陰になってる誰もいない裏庭があったので、小さなベンチに腰を下ろす。
チョコレートをつまむ。
うん、甘みが抑えてあって私の好みだわ。
他のスイーツの味見もしつつ、何を入れてるのか舌でチェックするのも忘れない。
「……ふぅ。しかしなんで人がわんさかいると具合悪くなるのかしらねぇ?まぁ私もわんさかの一人なんだけど」
うーん、と伸びをして、やっぱり人が居ないと落ち着くわ~、などと思いながら独り言を呟くと、
「ごめんね、人がいるけど」
と近くで声がした。え?どこ?
きょろきょろしてると、木陰で昼寝をしてたオッサンが起き上がった。
30前後かと思える穏やかそうな顔をした、短めの茶髪がふわふわしてる男の人が私を見て笑った。
警戒心を無くす笑顔だわこのオッサン。
「すみません、勝手に誰もいないと思って独り言をぶつぶつと。うるさかったですよね」
昼寝の邪魔をしたかとお詫びした。
「いや、別に平気。のんびりしてただけだから」
「オッサ、お兄さんはお城で働いてるんですか?」
「……ぷっ、オッサンでいいよ。君からしたらかなり上だろうから」
となり座っていい?とベンチに座って吹き出したオッサンは、特に気分を害した感じではなかったので安心した。
「すみません、口が悪いって時々父さんに叱られるんですよね」
スイーツを勧めつつ頭を下げた。
「お、シュークリームもらうね♪
そう、警備兵の仕事してるんだけどさ、ほらここ何日かは町の人ばかりだから、警備の人数も少なめでサボれるんだよ。多分料理人とか下働きの子とかの方が忙しいと思うよ」
「でしょうねえ。美味しかったです何食べても」
「それは良かったねぇ」
気やすいオッサンでなかなかいい話し相手である。
「私はシンデレラと言います。レラと呼んで下さい。オッサンの名前も聞いていいですか?オッサンというほどでもないですし」
「僕かい?僕はフレディだよ。
若い女性にはオッサン扱いされても仕方ないね。来年30になるから」
「まだ20代じゃないですかギリギリ。お子さんとかは?」
「いやーモテないから結婚もまだなんだよねーあははは」
照れ臭そうに言うフレディさんは何だか可愛い。
「なんでですかねぇ?優しそうで男前じゃないですか。……なんか特殊な趣味嗜好があったりとかーー」
「ないと思うけど……読書と庭いじり位しか趣味ないしね。
ただ、化粧とか香水がキツい女性が苦手なんだよね。まぁ何話していいか分からないからパーティとかでもあまり喋らないんだ」
「あー、私も読書好きですよ。仕事の合間にちょこちょこ読めるし。といってもフレディさんは難しそうなの読んでそうですよね。私は冒険小説とか恋愛小説位なので」
「僕だって読むよ恋愛小説。なんで主人公こんなにひどい奴なのにみんな惚れちゃうんだろうとか(笑)」
「あーありますねぇ(笑)
まさかこんなバカな女に騙されるなんてー、とかね」
「あははっ、そうそう!」
二人で笑い合う。
ひとしきり好きな本の話だの庭いじりの苦労だのパイ生地を薄く伸ばすための工夫だの話してるうちに、すっかり陽が傾いてしまった。
最終日以外は4時には門が閉じられてしまう。
慌てて私は立ち上がり、別れを告げた。
「せっかくサボってたのに長いこと邪魔してしまってすみませんでした。それじゃ私帰りますね」
「……ねえ、レラは、明日も来るの?」
「5日間毎日来ますよ。毎回メニュー違うって話ですしもう楽しみで楽しみで!」
「じゃ、いつもこの時間はここにいるから、また良かったらお菓子つまみながら世間話でもしない?
オッサンも色々話せて楽しかったからね」
「そうですね。もしお邪魔でなければまたお願いします。それとオッサンは止めて下さいフレディさん若いですから」
「ありがとう、また明日ね~」
お皿は返しておいてくれると言うのでお願いして、私は門までダッシュした。
充実したいい1日だったわ。
フレディさんサボりすぎて上役さんに叱られないといいけど。
なんとか門の閉まる時間に間に合って家へと急ぎながら私は、とりあえず父さん達に合流出来なかった事を謝らないと、と思いつつ、明日もフレディさんとのんびり茶飲み話するために言い訳も考えないと、と頭がぐるぐるしてしまうのだった。
門をくぐった私達は、やっぱ遠くで見てるよりお城ってデカイわね~と話をした。
数百人、いや、1000人2000人とかいるのかな。どこ向いても人、人、人。
まあ大体の人は食べ放題目当てだと思うけど、女の子はお洒落してる子が多いよね。
かくいう私もよそ行きの青いフレアのワンピースですけどね。
マリアもピンクのレースが沢山ついてるワンピース。なんて可愛いのかしら。これがお人形のような可愛さってもんなのね。
カタリナかあさんもライトグレイのツーピースで、父さんのダークグレーのスーツとペアみたい。美男美女だから目立つわね。
まだ庭園とか見て回りたいマリアと両親と別れて、私は早速食べ物に向かいますよ~と。
後で合流することになってるし、はぐれても帰り道は分かるし問題ないでしょ。
大広間もまたえらい人。バイキング形式で沢山の料理が出てて、お腹がちょっと鳴ってしまった。
とりあえずご飯食べてからスイーツの方に行こうっと。
お皿を取り、ローストチキンやハンバーグ、蒸した野菜にとろりとしたソースがかかってるものなど、目についたものをせっせと載せた。
空いていたテーブルに座り、頂きます。
「美味しい~!」
レディのたしなみとか忘れて思わずがつがつ食べてしまいました。父さんかあさんすみません。
お代わりまでしてお腹は一杯だけど、スイーツは別腹だからね。
スイーツのコーナーに寄って小さめのケーキやシュークリーム、チョコレートなんかをちょいちょい皿に取って、さて戻ろうとしたらさっきの私の席は他の人が座ってた。
「まぁいっか。庭園で食べるのもOKよね」
少し人に酔いそうになってたので、これ幸いと皿を持って外に出た。
人が居ないとこを探しながらうろうろして、狭い道を抜けると木陰になってる誰もいない裏庭があったので、小さなベンチに腰を下ろす。
チョコレートをつまむ。
うん、甘みが抑えてあって私の好みだわ。
他のスイーツの味見もしつつ、何を入れてるのか舌でチェックするのも忘れない。
「……ふぅ。しかしなんで人がわんさかいると具合悪くなるのかしらねぇ?まぁ私もわんさかの一人なんだけど」
うーん、と伸びをして、やっぱり人が居ないと落ち着くわ~、などと思いながら独り言を呟くと、
「ごめんね、人がいるけど」
と近くで声がした。え?どこ?
きょろきょろしてると、木陰で昼寝をしてたオッサンが起き上がった。
30前後かと思える穏やかそうな顔をした、短めの茶髪がふわふわしてる男の人が私を見て笑った。
警戒心を無くす笑顔だわこのオッサン。
「すみません、勝手に誰もいないと思って独り言をぶつぶつと。うるさかったですよね」
昼寝の邪魔をしたかとお詫びした。
「いや、別に平気。のんびりしてただけだから」
「オッサ、お兄さんはお城で働いてるんですか?」
「……ぷっ、オッサンでいいよ。君からしたらかなり上だろうから」
となり座っていい?とベンチに座って吹き出したオッサンは、特に気分を害した感じではなかったので安心した。
「すみません、口が悪いって時々父さんに叱られるんですよね」
スイーツを勧めつつ頭を下げた。
「お、シュークリームもらうね♪
そう、警備兵の仕事してるんだけどさ、ほらここ何日かは町の人ばかりだから、警備の人数も少なめでサボれるんだよ。多分料理人とか下働きの子とかの方が忙しいと思うよ」
「でしょうねえ。美味しかったです何食べても」
「それは良かったねぇ」
気やすいオッサンでなかなかいい話し相手である。
「私はシンデレラと言います。レラと呼んで下さい。オッサンの名前も聞いていいですか?オッサンというほどでもないですし」
「僕かい?僕はフレディだよ。
若い女性にはオッサン扱いされても仕方ないね。来年30になるから」
「まだ20代じゃないですかギリギリ。お子さんとかは?」
「いやーモテないから結婚もまだなんだよねーあははは」
照れ臭そうに言うフレディさんは何だか可愛い。
「なんでですかねぇ?優しそうで男前じゃないですか。……なんか特殊な趣味嗜好があったりとかーー」
「ないと思うけど……読書と庭いじり位しか趣味ないしね。
ただ、化粧とか香水がキツい女性が苦手なんだよね。まぁ何話していいか分からないからパーティとかでもあまり喋らないんだ」
「あー、私も読書好きですよ。仕事の合間にちょこちょこ読めるし。といってもフレディさんは難しそうなの読んでそうですよね。私は冒険小説とか恋愛小説位なので」
「僕だって読むよ恋愛小説。なんで主人公こんなにひどい奴なのにみんな惚れちゃうんだろうとか(笑)」
「あーありますねぇ(笑)
まさかこんなバカな女に騙されるなんてー、とかね」
「あははっ、そうそう!」
二人で笑い合う。
ひとしきり好きな本の話だの庭いじりの苦労だのパイ生地を薄く伸ばすための工夫だの話してるうちに、すっかり陽が傾いてしまった。
最終日以外は4時には門が閉じられてしまう。
慌てて私は立ち上がり、別れを告げた。
「せっかくサボってたのに長いこと邪魔してしまってすみませんでした。それじゃ私帰りますね」
「……ねえ、レラは、明日も来るの?」
「5日間毎日来ますよ。毎回メニュー違うって話ですしもう楽しみで楽しみで!」
「じゃ、いつもこの時間はここにいるから、また良かったらお菓子つまみながら世間話でもしない?
オッサンも色々話せて楽しかったからね」
「そうですね。もしお邪魔でなければまたお願いします。それとオッサンは止めて下さいフレディさん若いですから」
「ありがとう、また明日ね~」
お皿は返しておいてくれると言うのでお願いして、私は門までダッシュした。
充実したいい1日だったわ。
フレディさんサボりすぎて上役さんに叱られないといいけど。
なんとか門の閉まる時間に間に合って家へと急ぎながら私は、とりあえず父さん達に合流出来なかった事を謝らないと、と思いつつ、明日もフレディさんとのんびり茶飲み話するために言い訳も考えないと、と頭がぐるぐるしてしまうのだった。
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