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お祭り。
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ヨーロッパの田園風景のような景色が広がるのどかなリンダーベルの町だが、今日から3日間は、クライン第3王子(公爵位に降位)とマーミヤ商会の会長であるハルカとの成婚記念という事で、お祭りが開催される。
そう、文字通り日本で言うところの『お祭り』である。
中央広場には噴水の近くにやぐらが組まれ、お客と運営サイドの人間との区別を図るため、マーミヤ商会からはハルカの故郷の伝統衣装ということで、ねじりハチマキと紺の祭マークがついたハッピ、追加で男性には腹掛けと股引きにゴム底がついた足袋、女性は少し厚手の黒のズボン(スパッツのようなもの)が無償で提供されていた。
そして子供達が持てるよう軽量化した小さな御輿は、ハルカがネット通販で購入した『簡単こども御輿セット』に、トラが資料を元にして華やかにデコレーションしてくれたものである。
相変わらず無駄にハイスペックである。
何故かきらびやかな装飾の中に加えて、大きな金色の招き猫が御輿のてっぺんに付いていた。
『………とても他人とは思えませんでしたのでつい。
いえ、それに幸福を招くアイテムだそうなので、祝い事には相応しいかと』
と弁解するように主張していたが、可愛いので全く問題なかった。
町の子供たちや大人までが勘違いしており、
「あ、トラちゃんだ」
「なんでトラちゃん金ぴかなんだい」
と大勢から声をかけられ、
『いえ自分ではなく、ハルカ様の国の幸福のシンボルでして』
などと紙を見せている姿をアチコチで目にした。
御輿を担いだ子供たちが、わっしょいわっしょい♪と元気に通りを練り歩く中、やぐらのある広場を取りまくように提灯が飾られ、大量の出店が出ている。
提灯も暗くなると明かりが灯され、お祭りムードが尚一層高まる仕組みになっている。
それぞれの店からは、商店街のボランティアで、馴染みのあるおっちゃんおばちゃんが大声を上げている。
「クラーケンのゲソのショーユ焼きだよー!たったの10ドランだよ~」
「ベルカステラだよ~、こっちも袋に5つ入って10ドランだけど、クジ引きで当たりが出たらもう1袋おまけだよー!」
「焼きソバー、焼きそばはどうだい?10ドランでお腹一杯になれるよ~」
「甘い甘いフワフワの雲のような綿菓子だよー!10ドランでカップルはより甘く、お友だち同士は半分こで楽しみな~」
「ボールすくいだよお~!頑張って沢山取んな~」
まだ午前中なのに賑やかこの上ない。
ハルカ達は出店に挨拶に回りながら、皆におめでとうの声をかけられ、笑顔でお礼を返した。
町の人たちは殆ど見た事がないシャイナさんや三つ子達の可愛さにデロデロで、お金を渡す前からオマケだと色々貰っている。
ラウールが町をウロウロしたりクロノスが空を飛んでるせいで、町の人たちは人外に対して抵抗感が殆どなくなってしまったようで、「人じゃないけど町の住人」と言った扱いになっている。
まあトラが買い物に走り回ったり店で接客している時点でおかしいのだが、この町の人たちはのんびりしたお国柄のせいなのか、そこら辺を気に止めない優しさがある人が多い。
クロノスが、嫉妬を募らせたのか、オマケを断り、
[ウチの妻と子供たちなんで、自分が買うッスよ!]
とお小遣い袋から器用にお金を取り出している。
プルはいつものようにラウールの背中に乗り、あれを買う!これも食べる!、とタクシー代わりに使っているのだが、ちゃんとラウールの欲しいのも聞いており、肉の串焼きを沢山買って皿に串を外したのを置いてやったり、マメに世話をしている。
テンはニコルと待ち合わせをしていたので、手を繋いで出店に歩いて行った。
ハルカの持ってきた太鼓はやぐらに設置し、試しにこんな感じで音を出すんです、とドドン、ドーン、とやってみると、むかし演奏会で打楽器をやっていたんだ、ちょっとやらせてくれないかと言う酒屋のオッチャンがバチを取り、任せてみたらハルカよりよっぽど上手に叩いてくれたので、こっそり太鼓に拡声機能を魔法で付与して、勝手にその場で作った【祭り太鼓保存会】の名誉会長に任命し、定時ごとに叩いて貰うことになった。
ついでに持ってきた笛は、フルートをやっていた騎士団のお兄ちゃんがいて、最初は音の出し方に手こずったものの、すぐにコツをつかんでくれて、太鼓と一緒にピーヒャラやってくれると言うので、これもハルカが拡声の魔法を付与して【笛吹き隊】の名誉隊長になってもらった。
これから定期的に祭りをするのだから、太鼓も笛も演奏者を育成してくれないかとハルカが打診してみたところ、珍しい音で興味持つ人も多いだろうから、と快く引き受けてくれた。
ハルカが後日、何本か新しい笛と大小取り混ぜて太鼓も持っていく話もしている内に、トラは手伝いに駆り出され、ミリアンはケルヴィンとぶらつくわー、と居なくなり、ムルムルとフルフルも笑顔で射的してきまーす、と消えて行き、最後にはクラインと二人っきりになっていた。
クラインは長身に浴衣姿がよく似合っていたが、少しだけ浮かない顔をしていた。
「………クライン、日本のお祭り、気に入らなかった?」
ハルカは申し訳ない気持ちになり尋ねた。クラインは好きなようにしたらいいとハルカのやることに何も文句を言わなかったから、つい調子に乗ってしまったかも知れない。
「いや、そうじゃなくて………映画やドラマ、それにこんなに楽しい祭りや美味い料理、日本てほんとすごい国だなって改めて思ってな」
クラインは、少しハルカを見つめ、俯いた。
「………この先、もし日本へ帰れる方法が見つかったら、ハルカは戻ってしまうのかな、戻りたいかも知れない、と思ったら何だか胸が苦しくなって………」
ハルカは、糸目でクラインをじっと見返すと、思いっきりクラインの頬をひっぱたいた。
「なっ!!おいっ何を………」
結構な痛みに思わず頬を押さえたクラインは、ハルカがかなり怒っているのを感じ、黙った。
「グーで行かなかっただけ感謝して。
あのねぇクライン?」
ハルカがずい、っとクラインに近づき見上げた。
「確かにお祭りは楽しいし、ご飯も美味しい。映画やドラマ、温泉だってある。日本は生まれた国だし嫌いな訳ない。でも一番欲しかったものは無いんだよ」
「一番欲しかったもの?」
「うん。家族。どんなに楽しい事だって、ずっと一人じゃつまらないよ。
………いや、まぁまさか好きな人と結婚まで出来るとは思ってなかったけどね。
プルちゃん達やミリアンにケルヴィンさん、ラウールやシャイナさん達。ムルムルとフルフル。みーんな私のファミリーなのよ」
「ハルカ………」
「そして一番の家族は旦那様でしょう?
クラインは私とずっと一緒に居てくれるんでしょう?
日本に帰れる方法が見つかったとしても帰らないよ。ようやく手に入れた家族と愛する人を置いて行くわけないでしょ。………それとも追い返したいの?」
「違う!帰って欲しくなんかない!」
「じゃあ問題ないでしょ?」
ハルカはクラインにぎゅうっと抱きついて囁いた。
「クライン。ずっと家族でいてよ、私と。
特典として、もれなくずーっと美味しいご飯とデザートが付くわよ」
「ずーっと家族で居てくれハルカ。
特典は別に無くていい。
………いや、ウソついた。やっぱりあった方が嬉しい。美味しいモノを沢山食べたい、ハルカと一緒に」
「素直でよろしい。
ーーでは末永くよろしくお願いいたします。旦那様」
「こちらこそ末永くよろしく。
大切な愛する奥さん」
ハルカが目を細め、顔を赤くしつつも頭を下げた。
夕刻になり、提灯の明かりがどんどん灯されてゆき、祭りもより賑やかに変わる。
賑やかな太鼓や笛の音も聞こえだした。
クラインはハルカと手を繋ぐと、
「せっかくだから、俺たちも出店を冷やかそう。アイツらも迎えに行かないと何するか分からないし」
と歩き出した。
「そうだね」
ハルカも頷くと手を握り返し、クラインと共に歩き出すのだった。
そう、文字通り日本で言うところの『お祭り』である。
中央広場には噴水の近くにやぐらが組まれ、お客と運営サイドの人間との区別を図るため、マーミヤ商会からはハルカの故郷の伝統衣装ということで、ねじりハチマキと紺の祭マークがついたハッピ、追加で男性には腹掛けと股引きにゴム底がついた足袋、女性は少し厚手の黒のズボン(スパッツのようなもの)が無償で提供されていた。
そして子供達が持てるよう軽量化した小さな御輿は、ハルカがネット通販で購入した『簡単こども御輿セット』に、トラが資料を元にして華やかにデコレーションしてくれたものである。
相変わらず無駄にハイスペックである。
何故かきらびやかな装飾の中に加えて、大きな金色の招き猫が御輿のてっぺんに付いていた。
『………とても他人とは思えませんでしたのでつい。
いえ、それに幸福を招くアイテムだそうなので、祝い事には相応しいかと』
と弁解するように主張していたが、可愛いので全く問題なかった。
町の子供たちや大人までが勘違いしており、
「あ、トラちゃんだ」
「なんでトラちゃん金ぴかなんだい」
と大勢から声をかけられ、
『いえ自分ではなく、ハルカ様の国の幸福のシンボルでして』
などと紙を見せている姿をアチコチで目にした。
御輿を担いだ子供たちが、わっしょいわっしょい♪と元気に通りを練り歩く中、やぐらのある広場を取りまくように提灯が飾られ、大量の出店が出ている。
提灯も暗くなると明かりが灯され、お祭りムードが尚一層高まる仕組みになっている。
それぞれの店からは、商店街のボランティアで、馴染みのあるおっちゃんおばちゃんが大声を上げている。
「クラーケンのゲソのショーユ焼きだよー!たったの10ドランだよ~」
「ベルカステラだよ~、こっちも袋に5つ入って10ドランだけど、クジ引きで当たりが出たらもう1袋おまけだよー!」
「焼きソバー、焼きそばはどうだい?10ドランでお腹一杯になれるよ~」
「甘い甘いフワフワの雲のような綿菓子だよー!10ドランでカップルはより甘く、お友だち同士は半分こで楽しみな~」
「ボールすくいだよお~!頑張って沢山取んな~」
まだ午前中なのに賑やかこの上ない。
ハルカ達は出店に挨拶に回りながら、皆におめでとうの声をかけられ、笑顔でお礼を返した。
町の人たちは殆ど見た事がないシャイナさんや三つ子達の可愛さにデロデロで、お金を渡す前からオマケだと色々貰っている。
ラウールが町をウロウロしたりクロノスが空を飛んでるせいで、町の人たちは人外に対して抵抗感が殆どなくなってしまったようで、「人じゃないけど町の住人」と言った扱いになっている。
まあトラが買い物に走り回ったり店で接客している時点でおかしいのだが、この町の人たちはのんびりしたお国柄のせいなのか、そこら辺を気に止めない優しさがある人が多い。
クロノスが、嫉妬を募らせたのか、オマケを断り、
[ウチの妻と子供たちなんで、自分が買うッスよ!]
とお小遣い袋から器用にお金を取り出している。
プルはいつものようにラウールの背中に乗り、あれを買う!これも食べる!、とタクシー代わりに使っているのだが、ちゃんとラウールの欲しいのも聞いており、肉の串焼きを沢山買って皿に串を外したのを置いてやったり、マメに世話をしている。
テンはニコルと待ち合わせをしていたので、手を繋いで出店に歩いて行った。
ハルカの持ってきた太鼓はやぐらに設置し、試しにこんな感じで音を出すんです、とドドン、ドーン、とやってみると、むかし演奏会で打楽器をやっていたんだ、ちょっとやらせてくれないかと言う酒屋のオッチャンがバチを取り、任せてみたらハルカよりよっぽど上手に叩いてくれたので、こっそり太鼓に拡声機能を魔法で付与して、勝手にその場で作った【祭り太鼓保存会】の名誉会長に任命し、定時ごとに叩いて貰うことになった。
ついでに持ってきた笛は、フルートをやっていた騎士団のお兄ちゃんがいて、最初は音の出し方に手こずったものの、すぐにコツをつかんでくれて、太鼓と一緒にピーヒャラやってくれると言うので、これもハルカが拡声の魔法を付与して【笛吹き隊】の名誉隊長になってもらった。
これから定期的に祭りをするのだから、太鼓も笛も演奏者を育成してくれないかとハルカが打診してみたところ、珍しい音で興味持つ人も多いだろうから、と快く引き受けてくれた。
ハルカが後日、何本か新しい笛と大小取り混ぜて太鼓も持っていく話もしている内に、トラは手伝いに駆り出され、ミリアンはケルヴィンとぶらつくわー、と居なくなり、ムルムルとフルフルも笑顔で射的してきまーす、と消えて行き、最後にはクラインと二人っきりになっていた。
クラインは長身に浴衣姿がよく似合っていたが、少しだけ浮かない顔をしていた。
「………クライン、日本のお祭り、気に入らなかった?」
ハルカは申し訳ない気持ちになり尋ねた。クラインは好きなようにしたらいいとハルカのやることに何も文句を言わなかったから、つい調子に乗ってしまったかも知れない。
「いや、そうじゃなくて………映画やドラマ、それにこんなに楽しい祭りや美味い料理、日本てほんとすごい国だなって改めて思ってな」
クラインは、少しハルカを見つめ、俯いた。
「………この先、もし日本へ帰れる方法が見つかったら、ハルカは戻ってしまうのかな、戻りたいかも知れない、と思ったら何だか胸が苦しくなって………」
ハルカは、糸目でクラインをじっと見返すと、思いっきりクラインの頬をひっぱたいた。
「なっ!!おいっ何を………」
結構な痛みに思わず頬を押さえたクラインは、ハルカがかなり怒っているのを感じ、黙った。
「グーで行かなかっただけ感謝して。
あのねぇクライン?」
ハルカがずい、っとクラインに近づき見上げた。
「確かにお祭りは楽しいし、ご飯も美味しい。映画やドラマ、温泉だってある。日本は生まれた国だし嫌いな訳ない。でも一番欲しかったものは無いんだよ」
「一番欲しかったもの?」
「うん。家族。どんなに楽しい事だって、ずっと一人じゃつまらないよ。
………いや、まぁまさか好きな人と結婚まで出来るとは思ってなかったけどね。
プルちゃん達やミリアンにケルヴィンさん、ラウールやシャイナさん達。ムルムルとフルフル。みーんな私のファミリーなのよ」
「ハルカ………」
「そして一番の家族は旦那様でしょう?
クラインは私とずっと一緒に居てくれるんでしょう?
日本に帰れる方法が見つかったとしても帰らないよ。ようやく手に入れた家族と愛する人を置いて行くわけないでしょ。………それとも追い返したいの?」
「違う!帰って欲しくなんかない!」
「じゃあ問題ないでしょ?」
ハルカはクラインにぎゅうっと抱きついて囁いた。
「クライン。ずっと家族でいてよ、私と。
特典として、もれなくずーっと美味しいご飯とデザートが付くわよ」
「ずーっと家族で居てくれハルカ。
特典は別に無くていい。
………いや、ウソついた。やっぱりあった方が嬉しい。美味しいモノを沢山食べたい、ハルカと一緒に」
「素直でよろしい。
ーーでは末永くよろしくお願いいたします。旦那様」
「こちらこそ末永くよろしく。
大切な愛する奥さん」
ハルカが目を細め、顔を赤くしつつも頭を下げた。
夕刻になり、提灯の明かりがどんどん灯されてゆき、祭りもより賑やかに変わる。
賑やかな太鼓や笛の音も聞こえだした。
クラインはハルカと手を繋ぐと、
「せっかくだから、俺たちも出店を冷やかそう。アイツらも迎えに行かないと何するか分からないし」
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「そうだね」
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