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肩透かし。
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「クラインっ、よくハルカに結婚を許して貰えたなっ!!いやぁめでたいめでたい!
大事にしないとすぐポイされるからな?本当に心から尽くせよ?浮気なんかしたら一発アウトだぞ?」
「もうっ、あと何年待てばいいのかと私達は内心気が気じゃなかったのよ?寿命が来る前で良かったわ。
クラインたら自分の出来る限りのアプローチをしていると聞いてたけど、全然経過報告もないし。
私それとなくハルカから状況を探りだそうとつついてみたけどちっとも反応ないし。んもうっ、いつの間にかこそこそ二人で愛を育んでいたのね!
あら、恋人同士の詮索なんて野暮だったわね、ダーリン♪
あー、ようやくハルカが娘になってくれるのね………嬉しいわぁ」
「えー、そうですね、なんと言えばいいか、勿論私も嬉しいです………」
王宮での国王陛下の謁見(クラインの独断)、と言う名目のお茶会で、クラインとハルカは、それぞれが糸目になっていた。
(………アプローチというのはどの辺りのことを言っているのだろう?全く分からないんですけど。
え?まさか手を繋いだりしたのとかは、もしやそういうことなの?でも手なんて誰でも繋ぐよね?特別なことでもないよね?あれは愛を育んでたの?分かるかいなそんなこと。
クラインが私を好きだとか愛してるみたいな事を言ったのは今まで聞いた覚えがないんだけど………いや、昨日初めて私が寝てると思って、勝手にぶつぶつと独り言言ってた時に聞いたな。
私が本当に寝てたら聞いた覚えもないままなんじゃないのアレ?ねえ?
あれ?待って待って。その場合、プロポーズはなかった事にならない?
もし寝てた時もしくは寝たふりのままだったらプロポーズはノーカンだったよ絶対。
………それともまさか、それ以外のアプローチとかリアクションがあって、私が一切気づかなかったの?そうなの?え?私どんだけ恋愛中枢が死にかけてるの?
自分でも若干疎い部分があるとは思ってたけど、まさか恋愛アルツハイマー?!
クラインとの恋の気配なんて今までどこにあったの?女神さま教えてヒントだけでも。
それに王妃様の「つついてみた」って何のこと?全然分からないんですけども!店に来た時?武道会の時?晩餐会の時?
思い出せー、話をしたときの事を全て思い出すのよー自分っ。
………うわーもう常に話すとき緊張してたから食べ物の話した位しか記憶ないわ。まるっと覚えてない。何で食べ物の話の事しか覚えてないのかなー。むしろ緊張してても食べ物の話は覚えてるところに私の最大の問題があると思うけど、それはともかく、いやー本当にどうしてくれよう自分。
………いいやもう。アプローチ受けてましたー、よく考えたら私も好きだったのでプロポーズお受けしましたーって事で片付けよう。考えても無駄な気がする。頭痛い)
脳内で沢山のクエスチョンと不安とが飛び交い、頭がぐるぐるしているハルカ。
(手繋いだだろ?行動で愛を語っただろ?常にそばにいて誰よりも話をしただろ?身辺の不埒なヤロウの接触は完全にブロックしてただろ?
とどめは昨夜のプロポーズだ。
………まあ昨夜は正直、ハルカが起きてると分かってたら恥ずかしくてとても言えなかったかも知れないし、大変なミラクルではあるが、その運も含めて俺だ。
いやもうしかし俺は頑張った。ものすごく頑張った。なんだかプル達には不憫なものでも見るような目をされていたが、ハルカだってあれだけアプローチしてたら伝わってた筈だよな俺の気持ちは)
クラインは、脳内で大変都合のいい好意的解釈をして、見事に己の必死なアプローチの甲斐があって振り向いてもらえたと現実を大分ねじ曲げて昇華させていた。
「いや、ただですね父上、母上。
大変申し上げにくいのですが、ハルカも仕事を辞めたくないと言っておりますし、我が国にとっても店舗やマーミヤ商会がなくなるのは大変な痛手です。
ですから、裏からサポートもしたいですし、私が王族から公爵位でも賜って下るのが一番宜しいかと思っております」
「ふうん、いいんじゃない?
僕らも楽しみなくなると困るし。ねえハニー?
ちょうどハルカ達の住んでる裏側の方の領地空いてるしな」
「そうね。まあうちは長男もよく出来た子だし、跡継ぎもいるし、同性愛者のふりして逃げてる次男もいるから、心配要らないわよ?」
「っ、ミハイル兄上の嘘、バレてたんですか?」
「当たり前じゃないの。あの子小さい時からオッパイ大好きなんだもの。揉めるオッパイのない男になんて道端の石ほども興味ないわよ。よくあんな苦しい言い訳で見合いから逃げようと思ったわよね」
「どうせなら裸で寝室で男といちゃつく位の根性見せてくれりゃ褒めてやったのになぁ」
「本当よねえ。………あ、でも私達が知ってるのは黙っといてね。あと二年待っても結婚もせずに同じこと言って逃げるようなら、うちの騎士団でミハイルに叶わぬ想いを寄せてる子がいるから夜這いかけてもらうわ。案外嘘から出た誠になるかもだし。うふふっ」
(我が親ながら何て容赦ない………済まないミハイル兄さん、………超がんば)
クラインは万が一バラしたと解った時点でターゲットが自分に変わることだけは確信し、仲良しの兄に心からのエールを送った。
予想外に全く揉めることなくクラインとハルカの結婚式は、むしろ国王側から急かされる形で二か月後に決まった。
大事にしないとすぐポイされるからな?本当に心から尽くせよ?浮気なんかしたら一発アウトだぞ?」
「もうっ、あと何年待てばいいのかと私達は内心気が気じゃなかったのよ?寿命が来る前で良かったわ。
クラインたら自分の出来る限りのアプローチをしていると聞いてたけど、全然経過報告もないし。
私それとなくハルカから状況を探りだそうとつついてみたけどちっとも反応ないし。んもうっ、いつの間にかこそこそ二人で愛を育んでいたのね!
あら、恋人同士の詮索なんて野暮だったわね、ダーリン♪
あー、ようやくハルカが娘になってくれるのね………嬉しいわぁ」
「えー、そうですね、なんと言えばいいか、勿論私も嬉しいです………」
王宮での国王陛下の謁見(クラインの独断)、と言う名目のお茶会で、クラインとハルカは、それぞれが糸目になっていた。
(………アプローチというのはどの辺りのことを言っているのだろう?全く分からないんですけど。
え?まさか手を繋いだりしたのとかは、もしやそういうことなの?でも手なんて誰でも繋ぐよね?特別なことでもないよね?あれは愛を育んでたの?分かるかいなそんなこと。
クラインが私を好きだとか愛してるみたいな事を言ったのは今まで聞いた覚えがないんだけど………いや、昨日初めて私が寝てると思って、勝手にぶつぶつと独り言言ってた時に聞いたな。
私が本当に寝てたら聞いた覚えもないままなんじゃないのアレ?ねえ?
あれ?待って待って。その場合、プロポーズはなかった事にならない?
もし寝てた時もしくは寝たふりのままだったらプロポーズはノーカンだったよ絶対。
………それともまさか、それ以外のアプローチとかリアクションがあって、私が一切気づかなかったの?そうなの?え?私どんだけ恋愛中枢が死にかけてるの?
自分でも若干疎い部分があるとは思ってたけど、まさか恋愛アルツハイマー?!
クラインとの恋の気配なんて今までどこにあったの?女神さま教えてヒントだけでも。
それに王妃様の「つついてみた」って何のこと?全然分からないんですけども!店に来た時?武道会の時?晩餐会の時?
思い出せー、話をしたときの事を全て思い出すのよー自分っ。
………うわーもう常に話すとき緊張してたから食べ物の話した位しか記憶ないわ。まるっと覚えてない。何で食べ物の話の事しか覚えてないのかなー。むしろ緊張してても食べ物の話は覚えてるところに私の最大の問題があると思うけど、それはともかく、いやー本当にどうしてくれよう自分。
………いいやもう。アプローチ受けてましたー、よく考えたら私も好きだったのでプロポーズお受けしましたーって事で片付けよう。考えても無駄な気がする。頭痛い)
脳内で沢山のクエスチョンと不安とが飛び交い、頭がぐるぐるしているハルカ。
(手繋いだだろ?行動で愛を語っただろ?常にそばにいて誰よりも話をしただろ?身辺の不埒なヤロウの接触は完全にブロックしてただろ?
とどめは昨夜のプロポーズだ。
………まあ昨夜は正直、ハルカが起きてると分かってたら恥ずかしくてとても言えなかったかも知れないし、大変なミラクルではあるが、その運も含めて俺だ。
いやもうしかし俺は頑張った。ものすごく頑張った。なんだかプル達には不憫なものでも見るような目をされていたが、ハルカだってあれだけアプローチしてたら伝わってた筈だよな俺の気持ちは)
クラインは、脳内で大変都合のいい好意的解釈をして、見事に己の必死なアプローチの甲斐があって振り向いてもらえたと現実を大分ねじ曲げて昇華させていた。
「いや、ただですね父上、母上。
大変申し上げにくいのですが、ハルカも仕事を辞めたくないと言っておりますし、我が国にとっても店舗やマーミヤ商会がなくなるのは大変な痛手です。
ですから、裏からサポートもしたいですし、私が王族から公爵位でも賜って下るのが一番宜しいかと思っております」
「ふうん、いいんじゃない?
僕らも楽しみなくなると困るし。ねえハニー?
ちょうどハルカ達の住んでる裏側の方の領地空いてるしな」
「そうね。まあうちは長男もよく出来た子だし、跡継ぎもいるし、同性愛者のふりして逃げてる次男もいるから、心配要らないわよ?」
「っ、ミハイル兄上の嘘、バレてたんですか?」
「当たり前じゃないの。あの子小さい時からオッパイ大好きなんだもの。揉めるオッパイのない男になんて道端の石ほども興味ないわよ。よくあんな苦しい言い訳で見合いから逃げようと思ったわよね」
「どうせなら裸で寝室で男といちゃつく位の根性見せてくれりゃ褒めてやったのになぁ」
「本当よねえ。………あ、でも私達が知ってるのは黙っといてね。あと二年待っても結婚もせずに同じこと言って逃げるようなら、うちの騎士団でミハイルに叶わぬ想いを寄せてる子がいるから夜這いかけてもらうわ。案外嘘から出た誠になるかもだし。うふふっ」
(我が親ながら何て容赦ない………済まないミハイル兄さん、………超がんば)
クラインは万が一バラしたと解った時点でターゲットが自分に変わることだけは確信し、仲良しの兄に心からのエールを送った。
予想外に全く揉めることなくクラインとハルカの結婚式は、むしろ国王側から急かされる形で二か月後に決まった。
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