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そいつぁ一大事でい。
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片っ端から王国内の各孤児院を周り、マニュアル片手にスパルタ式にびしびし鍛えさせて頂いた子供達(怪我したら大変ですからね)ですが、やはり苦労人な子達のためか粘りが違います。よう頑張ります。
お陰様で予想よりスムーズに全ての孤児院が屋台の開店にこぎ着けました。
ぱちぱちぱちぱちぱちぱち。
2週間経った現在。
「そこのカップルさん、フライドポテトどうっすかー?
彼女から『あーん』とかされてみたくないお兄さん?」
「うちのコロッケは子供にも大人にも大人気ですよ奥さん!夜ご飯のおかずに困ったらどうですか?またマーミヤ商会のソースかけて食べるともう激ウマですよ。ご飯が何杯でもいけちゃうからホント」
「ダンナさんダンナさん、奥さまに芋羊羮お土産にいかがですか?
マーミヤ商会直伝の上品な甘味で美味しいですよ~♪こんな紳士なダンナさんなら奥さまも上品な淑女でしょうから、ぴったりじゃないですか、是非一度召し上がって頂きたいです!」
………うん、子供達は私より売るのが上手です。わんさか売れてます。
ハルカは糸目になり頷いた。
お姉さん何も言うことないです。
リンダーベルの屋台車の様子を見に行ったら、スライサーの使用や揚げ物もちゃんと小さな子がいない状態でやってるし、近くの井戸水くんでマメに手洗いしたり、食材洗ったりと衛生的にも問題なし。
他のとこも抜き打ちで視察(かな?)したけど、特に問題なかった。
料金も全て10ドラン(100円)と安く統一してますからね、売れて貰わないと困るところだったけど、予想通りみんなイモ系好きな人は多かった。
安くて美味い、これはハルカの前世からの基本ポリシーである。高くて美味しいのは当然なんだもの。
それに、高くしたら如何に美味しいモノであろうが頻繁に買いには来られない。
孤児院の収入アップのために、そして子供達のモチベーションアップのために、商品は回転率を上げた方がいいのだ。
原価は、ぶっちゃけ袋とか食材、調味料の経費併せても1つ平均10円位なんで、売れれば売れるだけボロ儲けなんだけど、一応アイデア商品なんであまり安くしてもね。
周りとの兼ね合いもございますし。
市場や商店街の皆さんは、孤児院の子達が売るのに元々好意的だったので、受け入れ体制も万全である。
特に八百屋はイモがやたら売れるので大喜びだし、雑貨屋も袋や紙ナプキンなどが大量に卸せて御の字、と地域の店にも貢献が少しは出来ているのも大きい。
そして、やはり地域ごとに限定品を置いたのも良かったようだ。
冒険者や商売で出歩く人たちが、
「あれ?これは地元では売ってないぞ」
とお土産と話題づくりもあるのか結構多めに購入してくれるようだ。1人が5個10個とまとめて買ってくれるのは、単価が安いので尚更ありがたい話である。
「評判もいいようだし、順調な滑り出しだな」
少し店の様子を一緒に見ていたクラインがハルカに話しかけてきた。
「毎日のように買いにくる常連さんも結構いるみたいよ」
「アタシも買ってきたわ~♪」
ミリアンがポテトチップスを手に戻ってきた。
「このパリパリ感がたまらないわよねえ。毎日食べてたら太りそうだけど」
「油使ってるしね。でも仕事忙しいからむしろミリアンが痩せてきて心配だよ私。もっとバイトさん達に任せて指示出す方に回っても………」
ハルカが不安げにミリアンを見るが、
「止めてよ、デスクワークメインの時はむしろ見えないところにお肉がついてたから今は身軽に動きやすいし丁度いいのよ。
それに、お客さんが美味しそうな顔してご飯を食べてるの見ると嬉しいのよー。アタシからこんな楽しい仕事取り上げないでぇ~」
「そ、そうなの?疲れたら遠慮なく言ってね?チチまで痩せたら申し訳ないし」
「あんたはチチの心配しかしてないでしょ」
「そんなことないって。ただ、いいチチは魅力的だし維持したい訳でね……」
「こらそこの二人、若い女がチッ、チチとか男の前で連呼するな」
クラインが顔を赤らめてたしなめた。
「……あらご免なさい。ついガールズトークに熱が入ったわ。
まあ、チチ云々じゃなく、確かに少し痩せたせいか、普段着のスカートがゆるゆるで困ってるのよね。洋服屋で新しいの何着か上着も含めて買いたいな、とは思ってるんだけど」
「あー、それなら私も行く。ちょっと傷みが来てる服が増えたし。少ないのぐるぐる使い回してたからしょうがないけど」
「あら珍しい。じゃクライン、今日は二人とも、もう店に戻らないから皆に言っといてくれる?賄いは………適当に冷蔵庫の使っていいって」
「分かった。だが二人で平気か?もうすぐ夕方になるから、女性だけだと無用心だろ?」
ミリアンがハルカと腕を組み歩き出したところで振り返り、
「忘れてる?アタシ達は元S級と元A級冒険者よ?酔っ払いとかに絡まれても、むしろ相手がボコボコになるわよ」
笑いながら手をヒラヒラ振った。
「………まあ、そう言われればそうか。
じゃ、また後でな」
クラインは頼まれていた食材を調達しに市場に戻っていった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「なあクライン」
「なんだプル」
「ハルカ達は何時ごろ戻るって言ってた?」
「聞いてない。ただ洋服見て、気に入ったのがあれば買ってくると言ってただけだから、そんなに長時間かかるような話はしてなかったぞ」
店で働いていた面々も戻ってきて、風呂も済ませた夜8時過ぎ。
普段なら晩ごはんを食べてる頃合いである。
キッチンの保管庫にも食材や調味料はあるし、冷蔵庫にも生鮮食品はあるので、何か作るのは簡単だが、ハルカが作った方が美味しいので、みんな空腹だが手を出さなかった。
それに、食事の支度はハルカ、後片付けはクライン達、という暗黙のルールが出来上がっていたせいもある。
もう帰ってくるであろう、そろそろ戻るであろう、と思っていたからでもある。
「………乗り合い馬車が見つからないのかな」
テンが呟いた。普段ハルカがこんな遅くまで外に出掛けてる事がないので不安を覚えているようだ。
「店のそばに置いてたうちの馬車、俺達が帰るとき使っちゃったしな」
「………ちょっと心配だ。元冒険者とはいえやはり女性だしな。………俺が少し町の方に戻りながら様子を見てくる」
「あ、クライン、僕も行くよ。夜道は一人は危険だからね」
ケルヴィンも立ち上がり、さて馬車の方へ歩き出そうとした時、物凄い勢いで扉をドンドン叩く音が聞こえた。
トラが扉を開けると、リンダーベル孤児院のトラを最初タヌキ呼ばわりした少年が立っていた。
「ハッ、ハルカさんが、ハルカさんが何か変な集団に襲われて、ミリアンさんも、い、一緒に連れてかれるとこ、を、見まし た………!!」
孤児院の馬を必死に走らせてきたのだろう、疲れで息の上がった少年は、とんでもない爆弾発言を投げつけてきた。
お陰様で予想よりスムーズに全ての孤児院が屋台の開店にこぎ着けました。
ぱちぱちぱちぱちぱちぱち。
2週間経った現在。
「そこのカップルさん、フライドポテトどうっすかー?
彼女から『あーん』とかされてみたくないお兄さん?」
「うちのコロッケは子供にも大人にも大人気ですよ奥さん!夜ご飯のおかずに困ったらどうですか?またマーミヤ商会のソースかけて食べるともう激ウマですよ。ご飯が何杯でもいけちゃうからホント」
「ダンナさんダンナさん、奥さまに芋羊羮お土産にいかがですか?
マーミヤ商会直伝の上品な甘味で美味しいですよ~♪こんな紳士なダンナさんなら奥さまも上品な淑女でしょうから、ぴったりじゃないですか、是非一度召し上がって頂きたいです!」
………うん、子供達は私より売るのが上手です。わんさか売れてます。
ハルカは糸目になり頷いた。
お姉さん何も言うことないです。
リンダーベルの屋台車の様子を見に行ったら、スライサーの使用や揚げ物もちゃんと小さな子がいない状態でやってるし、近くの井戸水くんでマメに手洗いしたり、食材洗ったりと衛生的にも問題なし。
他のとこも抜き打ちで視察(かな?)したけど、特に問題なかった。
料金も全て10ドラン(100円)と安く統一してますからね、売れて貰わないと困るところだったけど、予想通りみんなイモ系好きな人は多かった。
安くて美味い、これはハルカの前世からの基本ポリシーである。高くて美味しいのは当然なんだもの。
それに、高くしたら如何に美味しいモノであろうが頻繁に買いには来られない。
孤児院の収入アップのために、そして子供達のモチベーションアップのために、商品は回転率を上げた方がいいのだ。
原価は、ぶっちゃけ袋とか食材、調味料の経費併せても1つ平均10円位なんで、売れれば売れるだけボロ儲けなんだけど、一応アイデア商品なんであまり安くしてもね。
周りとの兼ね合いもございますし。
市場や商店街の皆さんは、孤児院の子達が売るのに元々好意的だったので、受け入れ体制も万全である。
特に八百屋はイモがやたら売れるので大喜びだし、雑貨屋も袋や紙ナプキンなどが大量に卸せて御の字、と地域の店にも貢献が少しは出来ているのも大きい。
そして、やはり地域ごとに限定品を置いたのも良かったようだ。
冒険者や商売で出歩く人たちが、
「あれ?これは地元では売ってないぞ」
とお土産と話題づくりもあるのか結構多めに購入してくれるようだ。1人が5個10個とまとめて買ってくれるのは、単価が安いので尚更ありがたい話である。
「評判もいいようだし、順調な滑り出しだな」
少し店の様子を一緒に見ていたクラインがハルカに話しかけてきた。
「毎日のように買いにくる常連さんも結構いるみたいよ」
「アタシも買ってきたわ~♪」
ミリアンがポテトチップスを手に戻ってきた。
「このパリパリ感がたまらないわよねえ。毎日食べてたら太りそうだけど」
「油使ってるしね。でも仕事忙しいからむしろミリアンが痩せてきて心配だよ私。もっとバイトさん達に任せて指示出す方に回っても………」
ハルカが不安げにミリアンを見るが、
「止めてよ、デスクワークメインの時はむしろ見えないところにお肉がついてたから今は身軽に動きやすいし丁度いいのよ。
それに、お客さんが美味しそうな顔してご飯を食べてるの見ると嬉しいのよー。アタシからこんな楽しい仕事取り上げないでぇ~」
「そ、そうなの?疲れたら遠慮なく言ってね?チチまで痩せたら申し訳ないし」
「あんたはチチの心配しかしてないでしょ」
「そんなことないって。ただ、いいチチは魅力的だし維持したい訳でね……」
「こらそこの二人、若い女がチッ、チチとか男の前で連呼するな」
クラインが顔を赤らめてたしなめた。
「……あらご免なさい。ついガールズトークに熱が入ったわ。
まあ、チチ云々じゃなく、確かに少し痩せたせいか、普段着のスカートがゆるゆるで困ってるのよね。洋服屋で新しいの何着か上着も含めて買いたいな、とは思ってるんだけど」
「あー、それなら私も行く。ちょっと傷みが来てる服が増えたし。少ないのぐるぐる使い回してたからしょうがないけど」
「あら珍しい。じゃクライン、今日は二人とも、もう店に戻らないから皆に言っといてくれる?賄いは………適当に冷蔵庫の使っていいって」
「分かった。だが二人で平気か?もうすぐ夕方になるから、女性だけだと無用心だろ?」
ミリアンがハルカと腕を組み歩き出したところで振り返り、
「忘れてる?アタシ達は元S級と元A級冒険者よ?酔っ払いとかに絡まれても、むしろ相手がボコボコになるわよ」
笑いながら手をヒラヒラ振った。
「………まあ、そう言われればそうか。
じゃ、また後でな」
クラインは頼まれていた食材を調達しに市場に戻っていった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「なあクライン」
「なんだプル」
「ハルカ達は何時ごろ戻るって言ってた?」
「聞いてない。ただ洋服見て、気に入ったのがあれば買ってくると言ってただけだから、そんなに長時間かかるような話はしてなかったぞ」
店で働いていた面々も戻ってきて、風呂も済ませた夜8時過ぎ。
普段なら晩ごはんを食べてる頃合いである。
キッチンの保管庫にも食材や調味料はあるし、冷蔵庫にも生鮮食品はあるので、何か作るのは簡単だが、ハルカが作った方が美味しいので、みんな空腹だが手を出さなかった。
それに、食事の支度はハルカ、後片付けはクライン達、という暗黙のルールが出来上がっていたせいもある。
もう帰ってくるであろう、そろそろ戻るであろう、と思っていたからでもある。
「………乗り合い馬車が見つからないのかな」
テンが呟いた。普段ハルカがこんな遅くまで外に出掛けてる事がないので不安を覚えているようだ。
「店のそばに置いてたうちの馬車、俺達が帰るとき使っちゃったしな」
「………ちょっと心配だ。元冒険者とはいえやはり女性だしな。………俺が少し町の方に戻りながら様子を見てくる」
「あ、クライン、僕も行くよ。夜道は一人は危険だからね」
ケルヴィンも立ち上がり、さて馬車の方へ歩き出そうとした時、物凄い勢いで扉をドンドン叩く音が聞こえた。
トラが扉を開けると、リンダーベル孤児院のトラを最初タヌキ呼ばわりした少年が立っていた。
「ハッ、ハルカさんが、ハルカさんが何か変な集団に襲われて、ミリアンさんも、い、一緒に連れてかれるとこ、を、見まし た………!!」
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