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そいつぁファーストイヤーだぜ。
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「いやぁ、お久しぶりです!」
ガルバン帝国から戻って最初の祈りの日。
パラッツォの貴族の冒険者、グランさんと主従関係だと言うジルベルトさんがやってきた。
(彼らの冒険者ランクはA級とS級である。貴族でA級まで行くのはお飾りではないと言うことだね)
「こんにちはグランさんジルベルトさん。
すみません、仕事で他国に行ってる間にいらっしゃったみたいで」
ハルカは、休みで料理教室などの予定もなかったので、ごろんごろんしてタロちゃん達を転がして遊んでいただけだったので、ちょうど良かった。
「前に頼まれていたひまわりの種ですが、かなり収穫出来たのでお持ちしました。仕事ついでで申し訳ないです」
「いえいえとんでもない。本当に有り難いです」
ドサッ、と麻袋をテーブルに乗せ、残りは馬車の中にあります、とグランさんが言うと、ぼそりと
「………どっちがついでなんですかねぇ……ってマジで痛いですよ!」
と紅茶をすすっていたジルベルトさんが呟いてグランさんから蹴りを入れられていた。何故だ。
「………えーと、定期的に仕入れる事は可能ですか?年1ペースでいいので」
「勿論大丈夫です。種なんて家畜かペットのエサ位にしかなりませんから領地の方では。余ったのは棄ててた位なんで別にお金も………」
「いいえ、それはダメです。仕事で使う予定もあるので、ちゃんと明朗会計にしましょう。無料だと頂きにくくなりますし領地にも微々たる収入かも知れないですが、お金も入った方が良いですよね」
ハルカは力強く言葉を返すと、仕入値の相談に入った。
トラちゃんがお代わりの紅茶とシフォンケーキを運んで来る頃には、クラインやプルちゃん、ミリアン達もぞろぞろ起きてきて、
「あー、お久しぶりですねぇ」
などと挨拶を交わしていたが、ふとグランが、
「そういえば、来週の料理コンテストって、勿論ハルカさん達も出るんですよね?」
と確認してきた。
「………はい?」
いや知りませんがな。何だそのコンテストって。
こちとらマイホームに戻ってまだ数日しか経ってまへんで兄さん達。
「あれ?だって王国主催ですよね?飲み屋では誰が勝つかの賭けまでしてますし」
ギギギギギ。
振り向けばクラインがハルカと同様、唖然とした顔をしていた。
「いやっ、知らないって!店で忙しく働いてただけだから俺っ!王宮にも戻ってないし!!」
ぶんぶん首を振っている。
まあ確かに毎晩家でご飯食べてたし、店でも確かにオープンからおしまいまで働いてた。
大体ガルバンにも一緒に行ってたし、その間にお触れが出てたのなら分からないだろうな。
「参加者にハルカさんの名前もあったんで、そらぁ絶対見に来ないと、と思ったんですけどねぇ」
飲み屋での倍率はハルカがダントツの一番人気だとか。
「へいセニョール」
ハルカはクラインに手招きした。
恐る恐る目を潤ませながら近寄ってきたクラインに告げる。
「ワタシ、マッタクシラナカタヨ。王国主催ハアナタノパパ主催ネ。本人シラナイウチ参加者スルヨクナイ。トテモヨクナイ。責任モッテ情報ヨロ。
ソレマデアナタ家ハイレナイ、ワカタ?」
「わ、分かった!すぐ行ってくるから!!」
慌ててドアから飛び出していった。
ハルカはニヒル目で見送ると、グランさん達へ、
「そのお話、詳しく教えて頂けますか?」
と満面の笑みを向けるのだった。
ガルバン帝国から戻って最初の祈りの日。
パラッツォの貴族の冒険者、グランさんと主従関係だと言うジルベルトさんがやってきた。
(彼らの冒険者ランクはA級とS級である。貴族でA級まで行くのはお飾りではないと言うことだね)
「こんにちはグランさんジルベルトさん。
すみません、仕事で他国に行ってる間にいらっしゃったみたいで」
ハルカは、休みで料理教室などの予定もなかったので、ごろんごろんしてタロちゃん達を転がして遊んでいただけだったので、ちょうど良かった。
「前に頼まれていたひまわりの種ですが、かなり収穫出来たのでお持ちしました。仕事ついでで申し訳ないです」
「いえいえとんでもない。本当に有り難いです」
ドサッ、と麻袋をテーブルに乗せ、残りは馬車の中にあります、とグランさんが言うと、ぼそりと
「………どっちがついでなんですかねぇ……ってマジで痛いですよ!」
と紅茶をすすっていたジルベルトさんが呟いてグランさんから蹴りを入れられていた。何故だ。
「………えーと、定期的に仕入れる事は可能ですか?年1ペースでいいので」
「勿論大丈夫です。種なんて家畜かペットのエサ位にしかなりませんから領地の方では。余ったのは棄ててた位なんで別にお金も………」
「いいえ、それはダメです。仕事で使う予定もあるので、ちゃんと明朗会計にしましょう。無料だと頂きにくくなりますし領地にも微々たる収入かも知れないですが、お金も入った方が良いですよね」
ハルカは力強く言葉を返すと、仕入値の相談に入った。
トラちゃんがお代わりの紅茶とシフォンケーキを運んで来る頃には、クラインやプルちゃん、ミリアン達もぞろぞろ起きてきて、
「あー、お久しぶりですねぇ」
などと挨拶を交わしていたが、ふとグランが、
「そういえば、来週の料理コンテストって、勿論ハルカさん達も出るんですよね?」
と確認してきた。
「………はい?」
いや知りませんがな。何だそのコンテストって。
こちとらマイホームに戻ってまだ数日しか経ってまへんで兄さん達。
「あれ?だって王国主催ですよね?飲み屋では誰が勝つかの賭けまでしてますし」
ギギギギギ。
振り向けばクラインがハルカと同様、唖然とした顔をしていた。
「いやっ、知らないって!店で忙しく働いてただけだから俺っ!王宮にも戻ってないし!!」
ぶんぶん首を振っている。
まあ確かに毎晩家でご飯食べてたし、店でも確かにオープンからおしまいまで働いてた。
大体ガルバンにも一緒に行ってたし、その間にお触れが出てたのなら分からないだろうな。
「参加者にハルカさんの名前もあったんで、そらぁ絶対見に来ないと、と思ったんですけどねぇ」
飲み屋での倍率はハルカがダントツの一番人気だとか。
「へいセニョール」
ハルカはクラインに手招きした。
恐る恐る目を潤ませながら近寄ってきたクラインに告げる。
「ワタシ、マッタクシラナカタヨ。王国主催ハアナタノパパ主催ネ。本人シラナイウチ参加者スルヨクナイ。トテモヨクナイ。責任モッテ情報ヨロ。
ソレマデアナタ家ハイレナイ、ワカタ?」
「わ、分かった!すぐ行ってくるから!!」
慌ててドアから飛び出していった。
ハルカはニヒル目で見送ると、グランさん達へ、
「そのお話、詳しく教えて頂けますか?」
と満面の笑みを向けるのだった。
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